サプリメントの選び方 ~慢性疲労編~
》「疲労」と「疲労感」は違う?
Q.9月になると、暑い季節を乗り越えてきた分の「疲れ」を感じやすくなります。実際に今、この季節特有のだるさを感じているのですが、これって何とかなりませんか?
A.最近きちんと休息はとっていますか?
Q.そういえば最近寝苦しくて、きちんと質の良い睡眠がとれていなかったような気がします。
A.この時期は、夏場の疲れが出やすい時期なんです。
暑さが原因できちんと休めていなかったり、夏バテによる食欲不振で栄養不足になっていたりと、身体に疲れが溜まってしまっているんですね。疲労の原因が分かっている場合は、エアコンを活用してよく眠れる環境を整えるなどして、原因を取り除くことが大切です。
しかしこのように、原因がはっきりしている疲労であれば大きな問題ではありません。原因が取り除かれれば回復するはずです。しかし、最近では『寝てもとれない疲れ』を感じている人が増えているのです。
Q.広告などでたまにそのような言葉を見かけることがありますが、それって単なる加齢に伴う症状ではないのですか?
A.確かに年を重ねる程疲れを感じやすくはなるでしょう。
しかしそうではなく、休んでも疲労が取れない、いつも疲れを感じている、疲労が数ヶ月続いているといった人が増えているのです。いわゆる『慢性疲労』です。
『慢性疲労』の説明の前に、まず、「疲労」と「疲労感」の違いについてお話します。字並びをみるとほとんど同じ意味にとらえられがちですが、「疲労」と「疲労感」とはまったく違うものなのです。
Q.どちらも同じ意味に聞こえますが、何が違うのでしょうか?
A.簡単に言えば、「疲労」は肉体の疲れ、「疲労感」は精神的な疲れです。
たとえば、友人やパートナーのショッピングに付き合ったとき、それが全く自分にとって興味のないものだと、家に帰ってからどっと疲れたりしませんか?しかし同じ買い物でも、自分に興味のあるものであれば、例え同じ距離を歩いたとしても、たいして疲れを感じないものです。このふたつの例では、身体の疲れは同じでも、心の疲れ=「疲労感」は全く違ってきます。つまり「疲労感」とは「意欲」や「達成感」に大きく影響されるものなのです。
長時間労働したり身体を動かせば、当然身体は疲れます。しかし、仕事にやりがいを感じていると、「意欲」や「達成感」が疲労感を隠してしまい、疲労に気付かないままに働き続けてしまうことがあるのです。仕事でなくても、趣味に熱中するあまり連日夜更かしするのも同じです。また、「休みたくても休めない」という方も多いでしょう。そうして無理をするとどんどん疲労が溜まってしまい、ついには休んでも疲れが取れない『慢性疲労』になってしまうのです。疲労感を感じていても感じていなくてもなくても、定期的に休養をとることが大切です。
『慢性疲労自己診断チェックリスト』
また、本当は身体が慢性的に疲れているのに「眠くないから仕事をもう一頑張りしよう」と市場によくある「エナジー系ドリンク」を飲んでしまうのは、既に疲れた身体をさらに痛めつけるような行為です。
Q.どういうことですか?エナジー系ドリンクは疲労回復効果があるのではないですか?
A.エナジー系ドリンクが全てダメなわけではありません。しかし、商品によっては逆効果になってしまうものもあるんです。
例えば、エナジー系のドリンクで、カフェインの入ったものは「要注意」です。カフェインは脳を覚醒させ、気分を高揚させて、集中力の増大・維持、眠気の消失、疲労感の減少などの効果があります。夜間にエナジー系ドリンクを飲むと、カフェインの影響で脳が興奮状態となるため、本来身体を休めなければならないのに、良質な睡眠を阻害してしまう可能性があるのです。それがさらに症状の悪化を招いていることも考えられます。
Q.そうなると、対処方法は何もないのでしょうか。
A.栄養面では、疲労回復効果のあるビタミンB群を多く含む食品や良質なたんぱく質など、健康食品では滋養強壮に役立つニンニクや栄養豊富なロイヤルゼリーなどがオススメですね。ニンニクやロイヤルゼリーは精神的な疲れにも効果が期待できます。
しかし、『慢性疲労』よりもさらに厄介なのが、最近問題になっている『慢性疲労症候群』という症状です。
Q.『慢性疲労症候群』とはあまり聞きなれませんが、どんな症状を指すのでしょうか?
A.『慢性疲労症候群』とは、原因の分からない疲労感が6ヶ月以上続く病気です。身体を動かしていなくても過剰に疲労感を感じてしまい、日常生活に大きく影響を及ぼしてしまいます。重症になると寝たきりになってしまうこともあります。
Q.それは怖いですね。『慢性疲労症候群』の原因や治療方法は分かっているんでしょうか?
A.ストレスや遺伝的要因による免疫低下や内分泌異常が有力な説ですが、はっきりとしたことはよく分かっていません。治療は薬物療法が中心ですが、栄養面からのアプローチでも、ある程度ケアできることもわかってきました。『慢性疲労症候群』のメインの症状は疲労感ですので、それを取り除くためにはストレスケアをしっかりとしていくことが大切です。
ストレスについてはダイエットの章でも少し触れましたが、ストレスに関係のあるホルモンに「セロトニン」というものがあります。セロトニンは別名「ハッピーホルモン」とも呼ばれ、精神の安らぎや安定をもたらしてくれます。不足すると落ち込みやすくなったりイライラしやすくなるため、積極的に増やしたいホルモンです。セロトニンは必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから作られますので、トリプトファンを含むサプリメントを利用すると良いでしょう。また、アミノ酸の一種であるギャバ(γ-アミノ酪酸)にはリラックス作用がありますのでこちらもオススメです。
「疲労」というのは本来「身体を休めてください」という脳からのサインですから、疲労を感じたときには休むのがベストです。休めないときには、エナジー系ドリンクで一時しのぎをするのではなく、ニンニクやロイヤルゼリー、トリプトファンやギャバを試してみると良いでしょう。
――ありがとうございました。次回は「ホルモン」についてお伺いします。
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福田 明弘 (薬剤師/セコム医療システム株式会社)
サプリメント開発に携わること約16年のベテラン。研究のみならず自らサプリメントや栄養学の講師として教壇に立つことも。 サプリメント開発に携わること約16年のベテラン。研究のみならず自らサプリメントや栄養学の講師として教壇に立つことも。 今年の夏も、夏バテ防止のためにカレーをよく食べました。エアコンを切ってカレーを食べていると、辛さとスパイスのせいで汗がたくさん出るので食後は爽快な気分になります。エアコンをかけ続けているのも身体に良くないので、時々そうしてわざと汗をかいて、新陳代謝を活発にする工夫をしていました。スパイスで食欲増進効果もありますし、暑い日のカレーはオススメですよ。 |
(AAN WEB編集部・小田真弓)
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