アンチエイジングニュース

「ベッドに入っている時間の80%しか寝れていない」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(404)

夜よく眠れないという人が多くいらっしゃいます。
この悩みを持つ人の年代は青少年から高齢の方までと広がっており、年齢には関係なく現代人に共通した問題となっています。
さて、現代人の睡眠時間は考えている以上に少なく、必要な睡眠を充分には取れていないとする研究が発表されています。
これは、シカゴ大学Diane Lauderdale博士らが、全米疫学専門誌American Journal of Epidemiologyに報告したものです。

研究は38歳~50歳までの669名のシカゴ在住のボランティアを対象としたもので、腕に睡眠測定装置を取り付けてもらって調べた、本格的な調査です。

これにより単にベッドにいる時間だけでなく、実際の睡眠時間をも知ることが出来たというわけです。

その結果によりますと、ベッドにいる時間は平均7.5時間で、実際に睡眠しているのはわずか6.1時間だけなことがわかりました。

次に男女差を調べたところ、白人女性は6.7時間であったのに対し、白人男性は6.1時間、黒人女性は5.9時間で、黒人男性ではわずか5.1時間でした。

また、収入が多い程、睡眠時間が長い傾向が見られました。

ベッドにいる時間は平均7.5時間なのですが、睡眠に入るまで22分必要で、実際の睡眠時間は6.1時間でした。

すなわち、実際に睡眠した時間をベットにいる時間で割った睡眠効率は、81%だったそうです。

以上の結果から、1)本来取るべき時間より非常に少ない時間しか睡眠を取っていない、2)黒人の方が白人よりも、また女性に比べて男性の方が睡眠時間が短く、特に収入の少ない人の方が睡眠時間が短い、ことが明らかになりました。

睡眠時間の減少傾向はこのところ激しくなっており、1900年では9時間の睡眠時間を取っていたにも拘わらす、1970年では7時間程度になっており、ついに6時間まで落ち込んでおり、現代人の睡眠状況は非常に悪いことが確認されたわけです。

現代人の生活が、24時間社会となっていることの表れだそうですが、睡眠不足は注意力が低下し、悪くするとうつ病の引き金となります。

何とかして、充分な睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めることが大切です。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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