アンチエイジングニュース

2014年11月13日、時事通信ホールで「アンチエイジングセミナー2014 運動でアンチエイジング -美しいカラダのつくり方-」を特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク主催で開催した。運動と栄養できれいになる方法を聞くために、190人の方が参加した。

講師は、ベストセラーとなった著書『大人のラジオ体操』で有名な中村格子先生。もうひとりの講師は、ミス・ユニバース・ジャパンの栄養コンサルタントを8年間務めたエリカ・アンギャル氏。この2人の講師が「美しいカラダを作り上げる秘訣」を伝授した。

●開催挨拶 塩谷信幸理事長
アンチエイジングネットワーク理事長の塩谷信幸は、セミナー開催にあたり次の挨拶をした。
アンチエイジングセミナーは今回で12回目。アンチエイジングの目的は「健康長寿」を目指すことだがそれだけでは寂しいので「美しく年を重ねる」という視点に立ちたい。その2本の柱である「バランスがとれた食事」と「適度な運動」について2人の講師にお話しいただく。今までご存知であった部分は正しかったと納得していただくとともに、新しいことを持ち帰り楽しいこと、長くつづけられることをライフスタイルに取りいれていただきたい。

●中村格子先生『輝く人生のためのカラダのつくり方』
中村先生は、美しさをつくる基礎は健康であると語り、姿勢や運動の重要性について次のように説明しながら、美しいカラダを作るためのストレッチなどを紹介し、正しい姿勢で行うラジオ体操の方法を紹介した。

加齢とともに、肋骨と骨盤の距離が縮んで姿勢が変化するが、その根底にあるのが「サルコペニア=筋肉量が年齢とともに減っていくこと」で、ヒトでは20歳以降10年ごとに約5%の筋肉量が減っていき、60歳までに約20%が減少。60歳以降は減少速度が加速する。動かない生活による筋肉量の変化は、ベッドで寝た状態で1日に1.0~1.5%、ギブス固定で1日に1.3~5.5%落ちると言われている。そのため、適度に運動していくことが大切である。
皮膚と筋膜を整えると動きが良くなり、バランスが整った美しいカラダにつながる。人体はテンセグリティー(引っ張る力と圧縮する力によって均衡を保たれる構造のこと)構造であり、姿勢と見た目は大きく関わっている。
よく「痩せたい」という相談をいただくが、まずは自分には減量が必要か確認して欲しい。

理想体重 BMI 22

BMI=(体重kg)÷(身長m)2

日本には古来より言葉が気分や意識などにも影響する「言霊」という考え方がある。「自分は〇〇でなくてはならない」「自分はどうせ無理だから」という潜在意識を捨てていただくことが大切である。

●エリカ・アンギャル氏『女性の食事とアンチエイジング』
来場者から事前にいただいた質問にエリカ氏が答えていくという形で進行し、以下のようなアドバイスを語った。

Q.日常の食事のとり方のヒントが知りたい。
エリカ氏の回答:栄養バランスの良い食事を摂ることが大切である。特に炭水化物だけだとカロリーはあるが栄養素が入っていないため、蛋白質を毎食ごとに付け加えることが重要である。例えばベーグルにはスモークサーモンとチーズを挟む、パンには卵料理を加える、白飯には納豆や卵を追加する、ヨーグルトとナッツを組み合わせるなどの工夫をしてもらいたい。グリーンスムージーは蛋白質が入っていないため、豆乳などを付け加えるとよい。蛋白質を追加すると血糖値が上がりにくくなり、満足感を得られる。日本の一汁三菜は栄養バランスがパーフェクトで血糖値が上昇しにくい組み合わせである。

Q.日本人に合った食事のとり方のポイントとは。
エリカ氏の回答:一汁三菜といった、伝統的な日本食が日本人には向いている。旅館の朝食に近いものが良いが、時間がないときは納豆かけごはんでも良い。

Q.甘いものが食べたくなるときはどうしたらよいか。
エリカ氏の回答:女性は、ハッピーホルモン「セロトニン」の分泌量が男性よりも少ない。甘いものを食べるとセロトニンが分泌されるが、甘いものは中毒性が高く、脳から出ているシグナルで食べたくなってしまう。
甘いものを絶つことはとても辛いため、フルーツやレーズン、いちじく、デーツなどの自然な甘みを摂ったり、カカオ70%以上のダークチョコレートや、サツマイモなどで摂ったりすると良い。ドライフルーツを小さな容器に入れて持ち歩いてもよいと思う。

Q.外食とアルコール、上手な付き合い方は。
エリカ氏の回答:アルコールは適量ならば飲んでもよい。女性は必ず何かを食べながらアルコールを飲んだ方がよい。つまみは、枝豆や冷奴などの蛋白質が良く、ジャンクフードやファーストフードは避けた方がよい。また、水を飲みながらアルコールを摂った方が良い。適量は女性は1~2杯が目安で、男性は2杯~3杯であり、適量飲む人が一番長生するとも言われている。ただし、お酒を飲んで顔がすごく赤くなる人は癌の罹患率が上がるため、アルコール摂取はあまりおすすめしない。

Q.ミス・ユニバース・ジャパンでの経験から
エリカ氏の回答:候補生の中には、間違った知識や食生活、ライフスタイルを送っている人がいて、それを正すことで大きく変化する。例えば、緑黄色野菜の摂取で肌のツヤが良くなったりする。毎日大さじ1杯から2杯のエクストラバージンオリーブオイルを摂るようにする、野菜からリコピンやベータカロチンなどのカロテノイドを摂るようにするとよい。

●パネルディスカッション
来場者から寄せられた質問にパネリストが回答する形でパネルディスカッションが行われた。パネリストからは次のようなアドバイスが寄せられた。

Q.モチベーションをキープする方法はありますか
中村先生:目標を持つことが大事であるが、数値化してモニタリングするとよいと思う。続かない方は完璧主義であることが多いため、飛び飛びになったとしても継続することが重要である。
エリカ氏:日本人は完璧主義であるが、パーフェクトにしなくてよい。美味しいフレンチをたくさん食べた次の日は運動するなど、時には自分に優しく、楽しみながら工夫することが大切である。
塩谷理事長:楽しくなければ続かない、手抜きも必要。仲間作りも大切である。

Q.運動と食事のバランス
中村先生:食事は運動後に行う。運動の1時間前には炭水化物を摂り、運動後は2時間以内に蛋白質などの栄養をバランスよく摂って欲しい。加齢とともに蛋白質を摂ってもなかなか吸収できなくなるため、吸収効率のよい時間に蛋白質を摂っていただきたい。

エリカ氏:食べ物は品質が重要である。市販のプロテインの原材料は人工甘味料やトランス脂肪酸も入っているものもあるので注意が必要です。運動後は抗酸化成分を摂った方がよくベリーに入っているポリフェノールなどをスムージーに入れたりなどするとよい。日本人はカロリーをチェックしても原材料はチェックしない人が多いので、品質、新鮮さなどを重視して欲しい。

Q.年を重ねても元気でいたい
中村先生:今日できたことは明日できる。「昨日やっていれば今日のカラダ、今日やっていれば明日のカラダ」と思いチャレンジし続けることが大切である。

エリカ氏:気持ちが重要。食生活が大きな役割をする。日本で伝統的な食生活をすること、日々やっていることが毎日に繋がる。ストレスを解消し楽しく過ごすことが元気でいるための秘訣である。

塩谷理事長:好奇心を持つことが大切である。あらゆる世代と接するとよい。

Q.毎日欠かさず行うこと
中村先生:朝のウォーキングや、ラジオ体操を行っている。また入浴後のケアではパーツごとのボディクリームを塗ることを実践している。
エリカ氏:健康でいることはパッケージ。よい睡眠、ストレス解消、機能性ストレッチ(昔ながらの自然な動き)、ファーストフードやジャンクフードを食べないなど、バランスのとれた生活習慣を心がけることが大事。そして何より一番大事なのは、ハッピーでいることが美と健康の秘訣である。

Q.来場者に一番伝えたいこと
中村先生:今日が人生で一番きれいであると思って過ごしていただくとハッピーでいられる。
エリカ氏:年をとることは素晴らしいこと。年をとって経験を積むと輝いてくる。自分の夢を目指すこと、楽しむことが重要である。
塩谷理事長:世の中はハウツーが多すぎる。一番基本的な運動と食を今回のテーマとした。人生の質=生きがいについて皆さんよく考えていただきたい。

これからもアンチエイジングネットワークは、キレイをキープしながら元気に活き活きと生きていくための方法を皆様にお知らせしてまいります。

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