アンチエイジングニュース

【特別企画】専門家が男女の「なぜ?」に迫る Vol.5

熊本悦明(札幌医科大学 名誉教授)×二松まゆみ(恋人・夫婦仲相談所 所長)特別対談

男女の関係はいつまでいってもわからないもの。
夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名が集まる「恋人・夫婦仲相談所」所長の二松まゆみさんを迎え、男女の「なぜ」に迫ります。

■新説!?大豆文化がセックスレスを生んでいる

二松 オキシトシンによって浮気をしなくなるということは良くわかりました。でも、じゃあなぜ女性の浮気が増えてきているんですか?

熊本 今の女性の浮気をしている人の割合はどのくらいですか?

二松 インターネットで15%を超えているという数字も出ていますが、実際はもっといると思います。20%を超えているかも。どの層で数字を取るかということにもよりますが、主婦であれば20%は浮気をしています。もちろん男性のほうが多いのですが、最近女性の浮気がどんどん増えているんです。

熊本 オキシトシンが多いとパートナーに目を向け、他に行かなくなるとお話させていただきましたが、旦那さんが奥さんとのスキンシップがなくなってオキシトシンが減って、浮気するということが考えられます。浮気することでオキシトシンが増えるから、浮気相手の方にのめり込んでいくという風になるのかな。

二松 旦那さんが奥さんを愛さない文化だからというわけですね。
だから世の奥様方はスポーツジムのインストラクターや子供のサッカークラブのコーチとかにはまってしまうんですね。

熊本 もちろん社会的な背景はあると思います。私の若い頃は、それこそダンスすることも「けしからん」という時代でしたから。でも今は違う。思春期における性関係の調査を大学の女子学生におこなったのですが、卒業するまでのセックスをしたパートナーは3~4人とのことでした。感染症の調査でみれば大学を卒業するまでで4~5人、性行為のスタートが中学1、2年の子も少なくないという調査結果も出ています。

二松 それは早いですね。高校デビューぐらいかと思っていました。

熊本 クラミジアの感染率とだいたい同じなんです。
昔より性行為の経験人数が増えていて、初体験の年齢も下がっている。セックスの経験年数が高校2年で男女の数が逆転したという調査もあるんです。

二松 女性がアグレッシブになったと。

熊本 昔は、女性はセックスには関心がないというのが一般的な考えでしたが、最近では女性の感染者数が増えていて、医師の間でも、これは大変だという認識があるぐらいになってきています。

二松 女性も社会進出が進み、男性と同じように働くことで生活刺激が高くなり男性ホルモンが高くなりアグレッシブになってきているのではないですか?

熊本 そうかもしれません。逆に男性は草食系男子と言われるように男性ホルモンが下がってきているんです。どちらにせよ、夫婦間でのスキンシップが重要になってきます。先ほども言ったように、例えばおなかを30回なでるなどの心掛けを努めるべきなのではないですか。

二松 夫婦円満の秘訣は「おなかをなでること」ですね。オキシトシンはなでる方が出るんですか?なでられた方が出るんですか?

熊本 なでられた方がより出ます。

二松 ということはマッサージされるとオキシトシンが出るということですね。
私、マッサージ大好きだからオキシトシンで出まくりの人生かもしれません。週3回も行っているんですよ。

熊本 それはいいですね。オキシトシンが出ると愛情を感じるだけでなく、リラックスするから気持ち的に平和になる。オキシトシンが増えると、心もなごむのです。例えば、お年寄りの肩をもんだり、背中を優しくなでてあげると、大変喜ばれるのもそのせいで、日常的に心掛けて欲しいこととされているのも、そこにあるのです。

二松 じゃあ、世界でマッサージ文化を確立すれば戦争はなくなりますね。
アジアはマッサージ屋さんが多いからすごくいいですよね。

熊本 アジアはオキシトシン文化ですよ。
特に日本は大豆文化でしょう。お醤油・味噌・納豆・豆腐…その中に女性ホルモンがあるのですから。

二松 イソフラボン!

熊本 イソフラボンを毎日食べているからオキシトシンも多い。オキシトシンが多いと優しくて、コミュニケーションが上手くとれて、相手のことを思いやることができる。
まさに「おもてなし」の精神が息づくわけです。

二松 なるほど!
日本でふつうに「おもてなし」の精神が息づいているのは大豆文化のおかげなんですね。

熊本 ただ優しくなりすぎるとアドベンチャースピリットもが発揮できなくなるから、セックスレスになる…とも考えられます。もしかすると大豆文化の影響で日本は全体的にオキシトシンが高いのかもしれません。世界で一番セックスレスの国となっているのもそれが原因かも知れません。

二松 それは新しい考え方ですね。
日本が先進国で性行為の回数が1番低いのは大豆文化のせいだと。

熊本 あとはアドベンチャースピリットを生むような社会条件が少なくなってきているのも要因の1つですね。
セックスをすることのハードルは下がってきているのだけど、セックスするという行為自体にはアドベンチャースピリットが必須。でも大豆文化(女性ホルモン)の日本はそれを動かすような雰囲気がない。
こんな仮説も立てられるかもしれません。

次回は男性ホルモンついての話題を提供いたします。

>>>『Dr.熊本×二松まゆみの男女の「なぜ?」に迫る』バックナンバーはこちら

熊本 悦明(くまもと・よしあき)
日本 Men’s Health 医学会理事長、札幌医科大学名誉教授

東京大学医学部卒業。東京大学講師(泌尿器科学講座)を務めたのち、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授。男性医学・泌尿器科外科学・尿路性器感染症学を中心に研究を進め、日本 Men’s Health 医学会及び日本性感染症学会を創立している。
その後、(財)性の健康医学財団会頭を経て、現在、札幌医科大学名誉教授、(財)性の健康医学財団名誉会頭、NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長、日本抗加齢医学会顧問、日本思春期学会顧問、日本性機能学会名誉会員など

【受賞】
保健文化賞、志賀潔・秦佐八郎賞
日本泌尿器科学会:坂口賞・鈴木賞

HP:日本臨床男性医学研究所


二松 まゆみ(ふたまつ・まゆみ)

元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。

【著書】
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気付づいたワタシ』(扶桑社新書)
『夫とは、したくない。』(ブックマン社)他多数。
新刊『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)

HP:恋人・夫婦仲相談所
ブログ:『すずねドキドキブログ』

 

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