第Ⅰ章 鏡よ鏡(4)「若さ=美か?」
ところで、誰かに花を贈ろうと、花屋さんの店先に立ち寄ったとしよう。
店内にはバラ、百合、トルコ桔梗といった多様な花が飾られている。
色も赤、白、薄紫などとりどりだ。もちろん選ぶのは多少硬くて若い蕾である。
相手の方に花盛りを楽しんでもらう為だ。
“花の命は短くて・・・”間もなく萎れてしまう。
その萎れた花をわざわざ花屋さんで買い求める馬鹿は居ないだろう。
つまり、我々が花を愛でる時には「若さ」を重視し、「若さ」イコール「美」は当然のこととされる。
女性がフェイスリフトの手術を受けるのも、同じ前提に立っている。
それが自分の満足であろうと、他の女性の目線であろうと、男性の望みであろうと、若返ることで美しくなりたいのだ。
さて、ここで一つの疑問が生まれる。
「若さ」イコール「美」という考えがまかり通るのであれば、よく耳にする“年相応の美しさ”とは一体何を意味するのだろう。
まして“美しく老いる”などという言葉は、矛盾した言い回しではなかろうか?何人かの女性にこの問いかけをしたところ、立場や価値観の違いか、答えは様々であった。
全ての意見を取り上げようとするとキリがないが、乗り掛かった船である。
この問題に暫く関わってみよう。
塩谷 信幸(しおや・のぶゆき) アンチエイジングネットワーク理事長、北里大学名誉教授、 AACクリニック銀座名誉院長、創傷治癒センター理事長 現在、北里研究所病院美容医学センター、医療法人社団ウェルエイジングAACクリニック銀座において診療・研究に従事しているほか、日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員として形成外科、美容外科の発展に尽力するかたわら特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問としてアンチエイジングの啓蒙活動を行っている。 【著書】 |
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