第Ⅵ章 いくつになっても男と女(6)「高齢者のセックスをどう考えるか。」
高齢者のセックスをどう考えるか。
有吉佐和子の「恍惚の人」という本がある。
これは認知症の患者を小説として初めて扱ったもの。認知症の代名詞にもなったくらいだが、彼女があとがきでこう述べている。「実はこの中でセックスの問題は書かなかったが、でも、高齢者で一番大事なのはセックスの問題。ただこれだけで一つのテーマになってしまうので今回はあえて避けた。」
よく老人ホームで、70、80の方々の、老いらくの恋ではないけれども、ベランダづたいに交流を深める方も出たり、色々な問題があるということは耳にする、それを問題と考えるかどうかは別問題だが。
これは認知症が進むと、大脳皮質の抑制がはずれて、動物的な自然に戻ってしまうということなのかもしれない。
老人ホームで狂歌募集をしたら
「100の老爺がおさわり生き甲斐に今日も元気だ困ったもんだ」
が一位をしめたという。
だがこれは今に始まったことではなく、久米の仙人という人が天から下で美女の太ももを見て、神通力を失い川に落っこちたという言い伝えもある。
それがドラゴンボールの亀仙人のモデルだという説もあるが…
“女性はいつまで性に拘るか?”
と、森鴎外が自分のお袋に聞いたら、火鉢の火箸で灰をかきまぜたという。
つまり灰になるまで。
女性でもそうだと安心させられるエピソードだ。
性ホルモンというのは繁殖のための性行為のためにあるが、それだけではない。人間の身体を保つために大事なホルモンである。つまり若さをたもつためにも性ホルモンの働きは必要だ。
その附随現象として、セックス機能も回復するならそれに越したことはないが、肝心なことはその為ではなくて、全身のアンチエイジングのためにホルモンが必要と、性ホルモンを見直して頂きたい。
>>>『WHY?Anti-Ageing』バックナンバーはこちら
塩谷 信幸(しおや・のぶゆき) アンチエイジングネットワーク理事長、北里大学名誉教授、 ウィメンズヘルスクリニック東京名誉院長、創傷治癒センター理事長 現在、北里研究所病院美容医学センター、医療法人社団ウェルエイジングAACクリニック銀座において診療・研究に従事しているほか、日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員として形成外科、美容外科の発展に尽力するかたわら特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問としてアンチエイジングの啓蒙活動を行っている。 【著書】 |
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