第Ⅵ章 いくつになっても男と女(7)「男女の差」、「西洋と日本の違い」
男女の差
男女の性差はテストステロン、エストロゲンといった性ホルモンの働きで生ずる。大事なことは男性でも女性でも両方のホルモンは分泌しているが、其のバランスの違いが男女差を生み出しているということである。
2種のホルモンの働きの違いについてだが、男性ホルモンであるテストステロンは、いけいけどんどんの冒険のホルモンであり、縄張り、競争心などを煽る。
女性ホルモンであるエストロゲンの方は、社会性の形成や、巣を作り愛情で包み込むといった働きがある。
だから男性にとってカミさんは航空母艦みたいなもので、毎晩出撃して帰ってきたら温かく迎えてほしい。たまに不時着してしまうことも大目に見て。
男性の場合と女性の場合では配偶者の選び方の視点が違う。どちらも子孫を残すというか、DNAを残すということを目的とするが、男性の場合は、ともかく世界中回ってもDNAを植え付けることを使命と感ずる。女性の場合は、一端植え付けられたら子供は10か月お腹にとどまり、その間種付けさせられることもできない。
しかも、生まれた子供をずっと育てる義務もある。
したがって男性の方に体力・資力があるかどうかを重視する。
つまり男性は、妊娠の可能性が判断基準になり、それが若さ、豊かな体型に結びつく。女性は、自分を保護して子供を育ててくれる能力としての相手への見方になってくる
ところで男には「朝立ち」という現象がある。
朝の勃起の事だ。
睡眠には二種類あり、レム睡眠とノンレム睡眠ということはご承知かと思う。
ノンレム睡眠が深い眠りで、レム睡眠の眠りが浅い。
これがペアとなって、一晩のうちに数回のサイクルで繰り返す。レム睡眠は、脳は覚醒に近い状態で夢を見たり勃起をする。レム睡眠の時に起きると目覚めがよく良いということ。その時に勃起をするのを、朝立ちと呼ぶ。
朝立ちそのものに拘るわけではなく、朝立ちするかしないかは、動脈硬化の血管の指標として捉えてほしい。ペニスに行く動脈は1~2ミリと非常に細く、動脈硬化の影響が勃起不全という形で最も早く現れるからである。
また、女性の問題としては、膣の粘膜が薄くなったり、縮んでくる、いわゆる性交痛というものがあるが、最近では若い人でも問題になることがあるようだ。
これはホルモンクリームや、ホルモン補充療法で改善ができるので、恥ずかしがらず、誰にもある自然な現象ということで、産婦人科で相談した方がよい。また言葉は悪いが、廃用性症候群、つまり使わないと機能が落ちてくるという面もある。車も使わないといくら新車でも動かなくなる、毎日乗っていると長持ちする。
そういうわけだが、ま、ほどほどに。
西洋と日本の違い
学生時代、軽井沢のテニスコートにはいつもプレーしている外人の奥さんがいた。旦那は日本人。噂では二人はあまり上手くいっていないようだ。旦那様が奥様の要求に応えられない。日本男性と結婚した欧米の女性は年をとるほどに欲求不満が溜まって、美容整形に走ったりする。
つまり旦那の気を引きたいとシワを伸ばしをたり、豊胸手術や脂肪吸引をするわけだ。だが反対に、その度に旦那もますますしらけてしまう。
夫人はこれだけ自分が尽くしているのにと、止めても次の手術をしようとする。
セックスに限らず、夫婦の間の愛情の示し方もだいぶギャップがあるのはご承知の通り。
アメリカの抗加齢学会A4Mの風潮は、そのものずばりで、アンチエイジングの目的と評価基準をセックスに置いている。
当然のことながら、5割以上の演題がセックス絡みである。ブースに行けば、関連のサプリその他のオンパレードだ。
デュレックスというコンドームの会社が何年かに一回出すレポートでは、
世界各国の男女のセックス頻度と性生活の満足度の統計図が掲載されるが、日本だけが飛び離れて何方も最下位に位置する。
これをどう考えるか…。
>>>『WHY?Anti-Ageing』バックナンバーはこちら
塩谷 信幸(しおや・のぶゆき) アンチエイジングネットワーク理事長、北里大学名誉教授、 ウィメンズヘルスクリニック東京名誉院長、創傷治癒センター理事長 現在、北里研究所病院美容医学センター、医療法人社団ウェルエイジングAACクリニック銀座において診療・研究に従事しているほか、日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員として形成外科、美容外科の発展に尽力するかたわら特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問としてアンチエイジングの啓蒙活動を行っている。 【著書】 |
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