対談：佐々木かをりさん（6）｜アンチエイジングネットワーク

「いい仲間」とは

マリー　女性であること、また女性が働くことにおいて、いろいろ悩んだり、つまずくことがあると思うんです。そういう女性に対して、最後にメッセージをいただきたいのですが。

佐々木　いい仲間に出会ったらいいですよ。いい仲間というのは、自分のことを慰めてくれる人じゃないですよ。そういう人とくっつきやすいけれど、そういう意味ではありません。嫌なことがあった時、人間って鼻がきくから、かばってくれる人のところに集まりやすい。それでお酒を飲んで悪口を言って終わるっていうのは……ね。
　自分がうまくいかないと思った時に「もしかしてあなたが悪かったんじゃないの」と言ってくれる人がいるかどうか。そう言われたら反論しながらも相手の言葉をよく聞いて、1分後には「そうかもしれない」と思えるような、そういう人を回りに八方塞がりに置いておく。そうすると、前を向けるわけですよ。信頼してくれていることが分かっていて、愚痴を言ってもさらりと聞き流したり、「あなたのここが悪かったんじゃないの」「もしかしたら、その考え方が違うのかもしれないよ」と疑問をちゃんと投げかけてくれる人がどれだけいるか。
　そして周囲にそういう人がいたら、素直に聞く。人の意見をうまく受け入れるためのいい訓練方法として、私はよく「脳のストレッチ運動をしなさい」と言っています。つまり、思考の幅を広げることですね。
　1つのことだけガンコに信じていたら、脳はストレッチしない。こうかもしれない、ああかもしれないと考えてきた人は強い。これがいい！と考えた時、異なる選択肢を100個挙げて、そこからひとつを選ぶという行為が大事なんです。

マリー　でも、選択肢がたくさんあると、自分が行きたい道があってもそれがクリアに見えないというか、惑わされることはありませんか？

人生の幅を広げる選択

佐々木　それはもう、訓練あるのみです。訓練というのは、繰り返す頻度です。
　100個の選択肢から3個を選ぶ時、1時間悩んでも3分悩んでも結果は一緒なわけだから、早く選んじゃう。選んだ結果に納得できなかったら、また次を試せばいい。もともと全部で3個しかないより、100個から3個を選んだほうが、人生の幅が大きいじゃない？　ひとつの物事を考える時に、どれだけたくさんの答えを考えつくかどうか。それが、豊かな生活を送るための脳のストレッチです。
　イー・ウーマンでは、「イー・ウーマンサーベイ」を毎日展開しています。各分野の専門家や著名人が「サーベイキャスター」を務め、政治経済から恋愛まで、ユーザーにいろいろな質問をします。投稿ルールは、どのテーマでも「自分の経験を書く」ということ。「私の周りでは皆～です」「日本の一般女性は～です」でなく、「私はこうする」「私はこうしたことがある」というもの。そういった個々の経験は、すべて事実の集まりだから、まとめて読むと自分の中に、説得力のある選択肢が広がっていくんです。

マリー　そう、私も何度かサーベイキャスターをさせていただきましたが、質問に対して毎回、皆さんから非常にクオリティーの高い答えが返ってくることに感動を覚えました。サプリメントやアンチエイジング、代替医療などに対して、ひとつひとつにコメントを逐一書きたくなるくらい、的確で、的を射た答え方をしてくれますね。イー・ウーマンに来られる方々は、とても意欲的で前向き。ご自分をしっかり分かっていらっしゃる方、そして常に向上心をもたれている方が多いですね。

佐々木　選択肢を増すことの繰り返しが心地よいと思えるようになればしめたものだと思っているんです（笑）。

「中途半端」に惑わされるな

マリー　あれもこれもとなると、すべてが中途半端になってしまうことは……。

佐々木　ないですよ。「中途半端」という表現は言葉のあやだと思う。きっと昔、誰かがそういう表現をしちゃったから、そういうものがあると思い込んでしまっているんですよ。

マリー　例えば、いくつか同時進行でやっていると、どれかが宙ぶらりんになってしまったり、なかなか進まなかったり。でも、「これはやろう！」と思っていたことはスムーズに進んでいくんです。その一方で、遅々として進まない事柄が常に気になっている。

佐々木　それは、ゆっくり進行しているものだと思えばいいんです（笑）。

マリー　なるほど。

佐々木　いろんな選択肢があった上で、あるひとつを選択することは、人生を楽しむ度合いとか人生に対する取り組み方とか、気持ちが全然違う。たとえ、ある時期に3つしか選択肢を知らなくても、それは決して「中途半端」なのではなくて、その人のその時のベストなんです。
　のちにもっと多くの選択肢を知った時、「あのころは中途半端だったな」と振り返るのはいいけれど、今の時点で「中途半端」だと判断を下してしまうのはやめたほうがいいと思う。だって、なんのプラスの力にもならないもの。ね？　そうでしょう？

マリー　今日は、本当にいろいろと勉強になりました。佐々木さんは同じ大学の先輩で、ご活躍をいつも拝見しており、そのつどいろいろなことに共鳴させていただいていました。そして今日、こうやってお話しをさせていただいて感じたことは、おっしゃられる言葉のひとつひとつに非常に深い意味がある、ということです。それはきっと、今までホントにいろいろなものをご覧になり、経験されてきた賜物なんでしょうね。