アンチエイジングニュース

「アンチエイジングの専門家がナビゲート」(ガイド:塩谷信幸)

美容外科治療を希望する人のための医師選びのコツを塩谷信幸がお教えします。

 

美容外科の世界では、手術の危険性とは別に、危険な医師の存在が問題になる。医師選びのコツをあげよう。

●形成外科認定医であること
 現在、形成外科の認定を取った医師は、すでに1,000人近くいる。絶対条件といわないまでも、形成外科の認定医の資格は、美容外科に進むにあたって、そろそろ必要条件と考えてもよいのではないだろうか。

●そのうえで、美容外科の必要な修練を受けていること

●学会の倫理綱領を遵守すること
 テレビ、コマーシャルでの誇大宣伝は行なわないこと。また、患者の希望しない手術を強要するなど、もってのほかだが、未だに横行している。

●いわゆるチェーン展開について
 今ひとつ気を付けてほしいのは、いわゆるチェーン店の展開である。スーパーのように均一の品質を全国的に薄利多売できるのなら、問題はない。これらの美容外科店は、その収益の大半、6~7割を広告費に使っている。通常の商売では、宣伝費が1割5分を越せば不健全とされている。その巨額の宣伝費のしわ寄せは、どこにいくか、いうまでもなく医療の質であり、患者の不幸せにつながる。これらの医師は、というか経営者は、利潤追求に徹し、化粧品の宣伝の感覚で、しかも化粧品には許されぬ医学効能まで謳うのだから、患者が騙されるのも無理はない。チェーン展開には経営者にとってスケールメリットがあるかもしれないが、美容外科のように個人の医師のテクニックが重視される分野では、馴染みがたいものがある。服飾の世界でいえば、オートクチュールに対してもプレタポルテのようなものと割り切ったほうがよさそうである。
(医学書院発行『JIM』掲載 「プライマリ・ケア医のための美容外科の知識」より抜粋)

筆者の紹介

塩谷先生

塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長、北里大学名誉教授
東京大学医学部卒業。フルブライト留学生として渡米し、オルバニー大学で外科および形成外科の専門医資格を取得。帰国後、東京大学形成外科、横浜市立大学形成外科講師を経て、北里大学形成外科教授、同大学名誉教授。 現在、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療と研究に従事。日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員として形成外科、美容外科の発展の尽力するかたわら、NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問としてアンチエイジングの啓蒙活動を行なっている。

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