アンチエイジングニュース

「肥満の人、糖尿病の人は、カレーを」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(192)

日本の代表的な料理といえば、寿司や会席料理が第一かもしれませんが、日常生活ではカレーライスでしょう。
なんたって、インドのカレーに比べて味の奥深さは格別です。

さて、私の大好きなカレーに含まれる成分が、糖尿病や肥満対策に有効との報告がありましたので、お知らせします。

ご存知のように、カレー粉には黄色い色素のターメリックが多く含まれていますが、このターメリックは、炎症、傷の治療、痛み止めなどに昔から使われてきました。

さて最新の医学書などによると、炎症反応は様々な疾病と強く関係しており、また2型糖尿病や肥満の原因ではないかとの説があります。
肥満に関与する炎症反応は、マクロファージと言われる免疫細胞が体内に広がり、心臓や膵臓などの臓器の炎症を引き起こすために、筋肉や肝臓のインシュリン抵抗性を増加させるというものです。

そこで、コロンビア大学医学センターのDrew Tortoriello博士らは、糖尿病のモデルマウスを用いてターメリックの肥満に対する影響を調べました(サンフランシスコで開かれた内分泌年会ENDO 2008で報告されたものです)。

研究では2種の肥満マウス及び2型糖尿マウスを使用しました。すると、ターメリックを投与されたマウスでは、2型糖尿病になる頻度が低くなっていることが、マウスの血液中のグルコースレベル及びグルコースとインシュリン耐性テストの結果明らかになりました。

さらに、ターメリックを与えられた肥満マウスは、肥満組織や肝臓の炎症反応が低下していることも確認できたそうです。

ターメリックに含まれる抗炎症・抗酸化成分のクルクミンが、インシュリン耐性を抑制し、2型糖尿病を抑えられたと考えられています

さらに、クルクミンを投与すると、脂肪が顕著に減少することから、クルクミンが体内の代謝全般にもに有益であると考えられるそうです。

肥満防止には様々な医薬品成分がありますが、いずれも安全性には問題があります。
ターメリックは安全な食品成分で、人の場合は少なくとも12g摂取しても安全であることが分かっていますので、ターメリックがたっぷり入ったカレーライスを食べて、肥満対策を・・・。

もっとも、食べ過ぎると逆効果ですので、運動もお忘れなく。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧