コエンザイムQ10が、老人性難聴を予防
「コエンザイムQ10が、老人性難聴を予防」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(223)
年を取るにつれて耳が遠くなる老人性難聴は、高齢者共通の悩みです。
今のところ、補聴器を使うしか対応策はないのですが、今回サプリメントとして人気の高いコエンザイムQ10が、老人性難聴の予防に有効である事が明らかになりました。
これは、染谷慎一・東大特任助教らが、米国科学アカデミー紀要誌(proc. natl. acad. sci. 2009, nov. issue)に発表したものです。
染谷先生らは、先ずBakといわれる遺伝子産物が、耳の奥の内耳にある感覚器の細胞を死滅させ、そのために老人性難聴が起こるのではないかと考えました。
そこでマウスを用いて、Bakが働けないように改変したところ、難聴が起こらない事がわかりました。
次に抗酸化物質で遺伝子の働きを抑えることが可能ではないかと考え、17種類の抗酸化物質を餌に混ぜてマウスに与えたところ、コエンザイムQ10 など3種類が難聴予防に効果があることが明らかになりました。
そこで、人間の成人にとっては1日20mgに相当する量のコエンザイムQ10 を生後4ヶ月からマウスに与え続けたところ、生後15ヶ月の時点で、同じ月齢のマウスが45デシベル以上の音しか聞き取れないのに対し、CoQ10を摂ったマウスでは、12デシベルの小さい音を聞き取れることが確認できたそうです。
勿論、人を対象とした研究が必要ですが、基本的にはマウスも人間も同じ聴覚のメカニズムですので、CoQ10の効果が期待されています。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。
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