健康博覧会2010レポート
★健康博覧会2010レポート
去る3月17日~19日の3日間、東京ビッグサイトにて、国内最大級の健康産業専門の展示会「健康博覧会2010」が開催された。出展企業・団体は約550社、総来場者は4万5千名を超え、大盛況のうちに幕を閉じた。第28回目となった今年のみどころは、オーガニック・ナチュラル、ダイエット&ビューティー、メタボ対策などカテゴリー別にゾーンわけされたブース。加えて、地場産業の魅力を全国に発信すべく多数参加していた各地方自治体のブース。今や老若男女問わずアンチエイジング商材への関心は高まるばかり。いったい「どんな新製品が登場し」「マーケットトレンドはどうなっているのか」。アンチエイジングネットワークも見逃すわけにはいかない。記者も最終日にお邪魔した。
★健康ビジネス産業のトレンドとは
多くの人で賑わう会場でまず記者の目を引いたのが、採血することなく毛細血管の状態を観察できるという検査機。株式会社血管美人のブース。社名と同じ毛細血管像血流観察装置「血管美人」に、左手薬指をのせると、モニターに毛細血管の状態が映し出される。医学書『毛細血管像と臨床』小川三郎著によると真直ぐで太くなく細くないヘアピンの様な形状が通常良い状態とされている。基本的な観察ポイントは3つ。①ねじれがないか。②太さはどうか。③にごりがないか。記者の毛細血管は比較的まっすぐなほうであったが、左の上にねじれがあるのがおわかりになるだろうか。このままの状態が悪化するとメタボリックドミノなどの考えからメタボリックシンドロームなど生活習慣病になる可能性があるという。血流の流れが悪くならないよう、睡眠を充分にとる等気をつける必要があるという。血管美人は、大学研究機関、企業や健保組合(産業医・保健師)、ドラッグストア、エステ、温浴施設やスポーツジムなどに健康状態を測るひとつの目安として導入され、健康指導をメインとし、他に健康のイベントなどの集客ツールとして活用されている。
次に伺ったのは、馬油製品が並ぶブース。肌美和(きみわ)株式会社。先日のニュースで、78歳の軌跡のスーパーモデルが馬油を愛用しているとコメントしていたこともあり、思わず足をとめてしまった。馬油とは、人の皮脂に近い成分をもったナチュラルオイル。担当者飯田さん曰く「馬油は究極の天然保湿成分。肌に違和感なく浸透し、キメ細かい肌へと導き、頭皮や髪も健やかに保つのです。中国の古典医学書『名医別録』や『本草網目』では肩こり、手足のあかぎれに用いられていたと記されています」。同社の製品は地元熊本の馬肉専用牧場をもつ優良メーカーと独自で契約し、新鮮で質の高い馬脂のみを原料に使用。しかし「臭いはないのか?」と気になり、記者も馬油クリームを手に塗ってみた。水分をしっかり封じ込め、しっとりとした感触で臭いも一切なかった。
★オーガニック・ナチュラルフード
食の安全、環境保護の観点から市場拡大されることが期待されているのだろう。様々な健康食品が紹介されていたのも、今回の健康博覧会の特徴。記者が気になったものをいくつかご紹介したい。ひとつめは「古代ペルシャの宝物 デーツ」。デーツとはなつめやしの実。デーツは、鉄分がプルーンの約2倍。亜鉛、カリウム、植物繊維、ポリフェノールも豊富。旧約聖書では「エデンの園の果実」。コーランでは「神が与えた食物」と記されているという。株式会社バイドシード社。のブ―スには、全てイラン産で、自然栽培・天日干し・無添加のドライフルーツがズラリと並んでいた。ドライフルーツは手軽に生活に取り入れられるのが魅力。そのままでも美味しく、料理やお菓子づくりにも活用できるので、子供からお年寄りまでオススメである。「女性に人気が高いのは『イチジク』です。食物繊維が豊富なので便秘に悩んでいる方に愛用されています。また、活性酸素を除去する働きがあるというアントシアニンも含まれており、アンチエイジングの味方となりますよ」と代表取締役のラザニ・ホセイン氏。他にも、珍しいものではチャックピイという健康ビーンズ。チャックピイは高タンパク低カロリーでコレステロールゼロ。ビールのおつまみにも合うので、メタボを気にするお酒飲みの方には嬉しい一品。
パッケージデザインの可愛らしさに惹かれたのが「萬寿のしずく」。沖縄伝統の長寿食材パパイヤをはじめ、玄米、米ぬか、こんぶ、もずくを有用微生物群(Effective Microorrganisms:略称EM)によって発酵させ作られた健康エキス。「青パパイヤは沖縄の方言では万寿瓜(マンジューイ)と呼ばれています。沖縄では産後の女性にすすめる習慣があり、古くから体力・健康維持のスタミナ食として親しまれてきたんです」と。株式会社熱帯資源研究所の岩本氏。沖縄といえば長寿のイメージが強いが、2000年に沖縄男性の平均寿命がトップクラスから全国26位に転落。県民の間では「26ショック」とも呼ばれたという。疾患別にみると、糖尿病による死亡率が男女ともに、全国ワースト5位以内、心筋梗塞による死亡率も女性で全国ワースト5位以内。糖尿病や心臓病などの生活習慣病予防が県民の大きな課題となった。欧米化した食生活が県民の健康に影響を与えたのだろうか。2008年3月に県が「健康おきなわ21」計画を発表し、沖縄県民の健康づくりを推進。長寿を支え続けてきた沖縄の伝統食材を見直す動きが高まっている。この「萬寿のしずく」に含まれるは沖縄長寿自然発酵エキスPAC(Product of Aminocarbony reaction of Component plant)の継続摂取により、糖尿病や脂質異常の患者さんにおいて抗酸化能が上昇し、特に女性で大きい事が確認され、久保明・高輪メディカルクリニックの院長と共に第30回日本臨床栄養学会で発表された。
最後にご紹介したいのは、あくまで記者個人が一番興味を惹かれたのが白鳥製薬株式会社 のブース。写真に映っているこの奇妙な植物こそ、「アカガウクルア」。これが次世代のアンチエイジング素材というのだから、素通りするわけにはいなない。「アカガウクルア」とは、タイのメコン川の特定の領域に生息するマメ科胡蝶亜科に属する熱帯植物の根。古くからタイ国原住民の間で、健康や男性の性行動を活性化させるための秘薬として伝承されてきたという。同社は、その機能性研究をタイ・チュラロンコン大学生薬学科長のチャイヨウ教授らのグループと進めてきたという。老化現象緩和作用を実証するために、男女ともにヒトボランティ臨床試験を実施。
その結果、「アカガウクルア」の摂取が男女ともにDHEA-Sの濃度の増加が認められたDHEAとはジヒドロエピアンドステロン。副腎皮質で作られるホルモン。男性ホルモンのテストステロンや、女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンなど50種類以上のホルモンがDHEAから作られることから「ホルモンの母」といわれている。加齢とともに分泌量が低下していく。性ホルモンの減少により、女性だけではなく、男子にも更年期症状と呼ばれる、様々な症状が出現する。ホルモン現象をいかにソフトランディングさせていくかについては多くのドクターが研究を進めており、ホルモン補充療法といった治療方法も注目されている。しかし、現状では、有効性、安全性、利便性、更に私費治療であるため非常に高額であることも課題。この「アカガウクルア」を主成分としたサプリメントに期待を寄せずにはいられない。
自然界からの恵みを見直し、取り入れ、健やかな人生に活用しようというヘルシー志向がとにかく目立った。「アンチエイジング」ビジネスが急加速し、それだけにアンチエイジングということばのいかがわしさも増しているように思う。多様な情報が氾濫する今だからこそ、ユーザー側も正しい知識を持ちしっかり見極めていくことが必要になっていると感じた。新しい商品を手にした時、日々の暮らしの中で、無理なく続けられるもの。そんなシンプルな視点で検討してみてはいかがだろう。
(AAN WEB編集部 熊本美加)
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