アンチエイジングニュース

「夜中にオシッコでよく起きる人は、死亡率が高い」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(282)

年を取ると、夜中にオシッコで目が覚めることが多くなりますね。これは「夜間頻尿」と呼ばれるものです。
さて今回はこれに関連して夜間に2回以上トイレに起きる高齢者は死亡率が高い、というニュースをお知らせします。
これは、東北大学病院泌尿器科の中川晴夫博士らが、シカゴで開催された2009年度米国泌尿器科学会(AUA)年次集会で発表した報告です。
研究では、北日本の都市部に住む70歳以上の788人(女性429人、男性359人)を対象に2003年に面接し、その後3年間の被験者の医療記録を調べました。

その結果、夜間に平均2回以上排尿のある人は、1回以下の人に比べて3年間の死亡率が2.7倍であることが分かりました。
この数値は、糖尿病、高血圧およびアルコール摂取などのいくつかの因子の影響を考慮して統計学的に解析したもので、有意の差が認められています。
そして夜間頻尿は加齢だけの問題とは限らず、重篤な疾患が関与していることもあるので、注意が必要とされています。
実際、心疾患、糖尿病、睡眠時無呼吸、腎疾患、下部尿路障害および睡眠障害など、さまざまな健康問題が絡んでいる可能性があります。

2006年に実施された研究でも、心疾患と夜間頻尿のある人は心疾患だけの人よりも死亡率が高いことがわかっています。
さらに夜間頻尿と転倒、股関節骨折との関連があるとの研究報告もが示されています。
夜間頻尿の人はよく眠ることができず、日中の注意力が低下するため、事故のリスクも高いと考えられる訳です。

夜間頻尿の方は、一度専門の医療関係者とご相談になられることをお勧めいたします。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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