アンチエイジングニュース

「日光は体重コントロールに重要」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(288)

熊は、冬眠中は体に蓄えた脂肪組織を燃焼させて、生命を維持します。
この脂肪組織は褐色脂肪組織rown dipose issue (BAT))と呼ばれるもので、過剰に摂取したエネルギーを脂肪として蓄えると同時に、脂肪を直接熱のエネルギーとして体外に放出する特殊な働きを持っています。
肥満体型の人は、この脂肪組織の活性が低下していることが知られています。
そして、褐色脂肪の機能を増強してやれば、肥満の予防や体重減少に役立つのではないかと考えられていました。

今回、英国ノッチンガム大学臨床医学のMichael Symonds教授らが、このBAT活性が季節変動し、日照にも強く関係することを見出しました。
さらに、日照時間をコントロールすれば、BAT活性が調節でき、ヒトの肥満の予防や改善が可能と述べています。

以下、糖尿病関連医学誌Diabetes(2009, Aug 20)に報告された内容です。

(目的)ヒトのBAT活性の季節変動が、太陽光や外気温と密接に関係してるかどうかを調べた。
(方法)3,614名の肥満患者を対象に、コンピューター陽電子放出断層撮影スキャンをおこなった。
(結果)167 (4.6%)がBAT活性を示した。
52/724 (7.2%)が冬にBATが強まり、夏は27/1067 (2.5%)であった。
このBATの月次変動は外界の温度よりも、日照時間に強く関係していることが分かった(1月9.4;7月1.5)。
特に、BATは女性に強いことが明らかになった((female:n=107, 7.2%, male: n=60, 2.8%)。

(結論)今回の研究で、BATは季節に強く影響されることが分かった。

外温よりも日照の強さに影響されことから、日照をコントロールすることにより、BAT活性を調節して、ヒトの肥満の予防や改善が可能と考えられる。

すなわち、太陽にあたるようにすれば、脂肪組織が燃焼して、体重がコントロールできるというわけです。

もちろん、紫外線には注意しなければなりませんが、大いに太陽の恵みを頂きましょう。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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