大豆製品は、更年期障害を緩和する
「大豆製品は、更年期障害を緩和する」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(297)
更年期とは、女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて、女性ホルモンが欠乏した状態を言います。
具体的には、閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。
卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの量が徐々に減少してくるのです。
その一方で、脳下垂体からは性腺刺激ホルモンが分泌され続けており、女性ホルモンのバランスが乱れます。
そうすると、自律神経の働きや情動まで影響を受け、様々な症状が襲ってきます。これが更年期障害です。
更年期障害の症状は、非常に多岐にわたります。
自律神経の働きが乱れて起こるのがホット・フラッシュ、いわゆるのぼせと発汗ですが、逆に、手足の冷えや耳鳴りなどの症状も多く見られます。
また 、頭痛、肩こり、腰痛、疲労倦怠感、トイレが近い、腟や尿道がヒリヒリする、性交痛なども多い症状です。
そして、気分が落ち込んで鬱になるといった精神症状も、更年期に現れやすい症状のひとつです。
さてこのような厄介な更年期障害ですが、今回大豆製品が、このような障害を抑える効果があることが確認されました。
この研究は、台湾国立チャイー大学のRobin Chiou氏が、Nutrition & Metabolism(2009, April issue)に報告したものです。
研究では、ラットの子宮を切除し、ヒト女性の更年期に見られるエストロゲンの減少とよく似た現象を起こさせた、ラットモデル実験をおこないました。
このような子宮摘出ラットに大豆製品を投与したところ、対照群に比べてコレステロール値が減少しており、また肝臓の抗酸化作用が強まっていることがわかりました。
また、膣内膜の破壊などの更年期様障害も大幅に緩和していたそうです。
以上の結果から、大豆イソフラボンには弱いエストロゲン作用があり、これを摂取することにより更年期障害が緩和すると結論されています。
そして、大豆サプリメントの摂取療法は、子宮がんや乳がんのリスクがあるホルモン補充療法に替わり得るものであると述べられています。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。
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