アンチエイジングニュース

「運動すると、老化した脳細胞でも再活性化する」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(307)


高齢になると脳の働きが鈍化してきます。
加齢により、脳の神経細胞の基となる幹細胞の増殖が悪くなるためと考えられていますが、今回このような老化した脳細胞でも、運動を行うと再び活発な増殖ができる事がわかりました。

これは、東京大学の久恒辰博准教授らが、米国脳科学専門誌Hippocampus誌(2010, January 19th Issue)に報告したものです。

研究では、記憶や学習など認知機能をつかさどる「海馬」に注目して、人なら高齢者に当たる2歳以上のマウスを用いて、海馬の神経細胞の基になる幹細胞の働きを調べました。

その結果、自由に走ることのできる環境で飼育したマウスは、十分運動できなかったマウスに比べて、幹細胞の増殖率は2.4倍高いことが分かりました。

また、運動する代わりに認知症治療薬のアリセプトを投与すると、未投与のマウスに比べ3倍以上に活発になることも明らかになりました。

このアリセプトという薬は、神経伝達物質アセチルコリンを保護する働きがあり、脳機能の改善に非常によく用いられるものです。

以上の結果から、運動をするとアセチルコリンの分泌が盛んになり、幹細胞の増殖を促していると考えられます。

そして、認知症の対策に、運動を積極的に取り入れることは有用であると結論しています。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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