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このところ、一気に冬の寒さへと空気が変わってきましたね。
「お肌の乾燥が気になる」という方も多いのではないでしょうか。
私はカサカサが気になるので、いっそうの保湿を心がけるようになりました。
暦の上では立冬を過ぎましたが、まだまだ気になる食材がいっぱいです。
秋から冬へと変わっていくこれからに本領を発揮していくのが、
今回登場するサツマイモです。

***美肌を保つ健康野菜***

サツマイモは、在来種を含めて、日本には約60品種ほどが栽培されているといわれ、
主に関東から西の地方で、8月から収穫が始まります。葉野菜とちがい、一度貯蔵されるので熟成が進みます。甘みが増して、食べ頃になるのが3~4カ月後なので、まさにこれからがサツマイモの美味しいとこ取りの季節なのです。
スーパーなどに並んでいる品種では、東の横綱といわれる“ベニアズマ”が有名でしょう。
関西であれば、“高系14号”をみかける方も多いのではないでしょうか。
ともに、表皮の紅色がとても鮮やかです。
最近では、小ぶりの“里むすめ”、“五郎島金時”が生産を増やし、人気となっています。
また、表皮が淡いクリームがかった“黄金千貫”や“安納芋”もメジャーの仲間入りをしていますね。

サツマイモといったら、食物繊維が豊富という意識を持っている方も多いはず。
食物繊維が多く、便秘の解消に役立つので、肌荒れも解消できるというわけです。
よく、さつまいもの切り口から乳白色の液体がにじみ出ていることがあると思いますが、
この液体の正体はヤラピンという成分です。
このヤラピンも食物繊維と同様に、腸の働きを促進してくれるので、相乗効果が期待できるでしょう。さつまいも特有の成分なのも嬉しいですね。
素材を軟らかくして、食べることができるので、虚弱体質の方お年寄りにも有効的ですし、利水作用もあるので、体のむくみも解消してくれます。
デパートでスイートポテトなど、サツマイモを使ったデザートが並んでいると、ついついテンションがあがってしまうのは、私だけではないでしょう。女性にとって魅力的なサツマイモは、この季節に欠かせないアンチエイジングの身近な存在なのです。

***ゆっくり待てば、ホクホク甘~い!***
みなさんは、サツマイモをどのように調理されていますか?
煮る、焼く、蒸す、いろんな調理方法が浮かんでくると思います。
今では、電子レンジを使って短時間で加熱する方法がありますが、ちょっと待って下さいね。加熱時間に大きなポイントがあるのです。
サツマイモは、デンプン分解酵素アミラーゼによって麦芽糖に変化するので、蒸したり焼いたりと、時間をかけることで、生の状態の時より約5倍の甘さがじんわりと溢れだしてきます。電子レンジは早くて便利だけれど、
酵素が力を発揮する前に火が通りきってしまい、せっかくのサツマイモの良さが台無しです。
一番サツマイモの甘さを引き出してくれるのが、真冬になると恋しくなる石焼き芋ではないでしょうか。石から熱が伝わっていき、じんわりと甘さとホクホク感が楽しめます。
サツマイモに含まれているビタミンCβ-カロテンは、加熱しても破壊されにくいので、待つ時間も美味しさの秘訣と考えて、ゆっくり楽しみましょう。

***すみ子のちょこっとZOOM UP!***
サツマイモの良さは、そのまま食べるだけではありません。
加工品としても、私たちの生活に身近なものとなっているのをご存知でしょうか。
サツマイモの収穫量1位の鹿児島県で有名なものといったら芋焼酎です。
数年前の芋焼酎ブームの時には、あまりの人気に原料のサツマイモが不足する事態が起きたくらい。主に黄金千貫を使用して作られる芋焼酎は、製造工程の早い段階から蒸したサツマイモを使用することで、独特の芳香を放ちます。
直接サツマイモを感じることなく、間接的にサツマイモを食べている場合もあるんですよ。
同じく、鹿児島といったら黒豚肉も名物のひとつです。
間接的…というのも、黒豚は餌としてサツマイモを食べているのです。
その肉質は、繊維が軟らかく、噛めば甘みが増していきます。ビタミンB1は牛肉を上回るともいわれていて、脂肪分が少ない分、さっぱりといただけるのも魅力のひとつ。
これからの季節、芋焼酎を片手に黒豚しゃぶしゃぶを囲むのもいいかもしれませんね。

私は以前、取材で干し芋作りの現場に伺ったことがあります。
蒸したサツマイモを空気の乾燥した冬空の下、天日干しをして完成させるのですが、自然の環境で干された芋は、甘みが凝縮してとてもおいしかったです。
サツマイモは、葉やツルを食べることもできるし、そのまま食べても、加工品としても、
とにかくオールマイティーに活躍してくれるものです。
お気に入りのサツマイモを見つけて、楽しく食べてくださいね。

伊能 すみ子

伊能 すみ子
INOU SUMIKO

食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』~アジアンフードディレクター伊能 すみ子~更新中

●著書『マカオ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。』/div>

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