体の中から潤してくれる薬膳レストランカフェに行ってみよう(1)
9月に入っても夏の暑さが残っていますね。夜は涼しい風があるとはいえ、まだまだ体にこたえる日々です。夏の暑さに体がバテ気味の方も多いのではないでしょうか。
私のまわりでも、熱中症で体調を崩してしまった人もいて、今年の暑さにお手上げでした。
体にダメージがあった分、その体を癒してあげることも大切です。
今回は、疲れた体にぴったりの薬膳レストランカフェに注目してみました。
最近は、「薬膳」を銘打ったレストランやカフェが、テレビや雑誌で特集されたりしています。漢方食材がずらりと並んでいたり、明るい店内に雑貨を並べて、おしゃれに演出したりと、和、洋、中、さまざまなスタイルで楽しめるお店がオープンしているのです。
***「薬膳」ってなんだろう?***
薬膳とは、中国医学の理念に基づき、食べ物の薬効を利用した食事のことです。
病気と健康の間の状態である「未病」から改善して、病気の予防や回復を促進します。それと共に、アンチエイジング、美容、体質改善や健康維持につながっていきます。
体質や病状、体調、季節に合わせて、食材を組み合わせていくのですが、難しいことはありません。普段、私たちが食べている食材には、様々な効能があったり、栄養素が含まれていたりしますよね。旬の食材を中心に、身近な食材をうまく取り入れて、バランスよく食べることができればよいでしょう。
***四季のある日本だからこそ薬膳を楽しめる***
最近は、異常気象の影響や食べ物の栽培も技術が進んで、季節の変わり目が分かりづらくなってしまいました。しかし、日本の四季には、美しさと美味しさがありますね。
旬ならではの食材やその時期に美味しい食材は、私たちの体内の環境にもリンクしていきます。自然の変化をうまくキャッチして、季節に馴染んだ体作りをしていきましょう。
「食欲の秋」「味覚の秋」「収穫の秋」というように、これからの季節は、特に食材が美味しく感じることができるころです。
食材の筆頭はフルーツでしょう。梨、ブドウ、リンゴ、柿…と、みずみずしさと酸味、甘みが楽しめる食材です。徐々に乾燥してくる季節に体の中から潤してくれます。
同様に、サトイモやレンコン、クコの実やギンナンなども、優しい味わいで料理を活かしてくれるので、夏の疲れから回復させてくれるのです。
***プロがアドバイスする薬膳レストラン***
全国に広がる薬膳レストランの魅力は、私たちがケアしたいと思う体質にあった料理を選べることです。お店には、薬膳マイスターや薬膳アドバイザーといわれる、薬膳の資格認定取得者、薬膳のプロが、それぞれの体質ケアにあった食材を組み合わせた料理を監修し、提供しています。
薬膳レストランといってもその敷居は低く、ランチタイムやディナーでは、アンチエイジングや美容にも興味のある女子会や主婦会にも最適なメニューだったり、おひとりでのんびりお茶を楽しむ方も多いです。
薬膳を楽しむには、日本料理や中国料理の展開が定番となっていますが、最近のブームによって、イタリアンやインド料理など、様々な試みをもったお店も増えました。
東京・品川区にある「薬膳レストラン10ZEN」は、日本最大の漢方相談薬局である薬日本堂が運営する、ニホンドウ漢方ミュージアム内にあるお店です。
ランチやディナーでは、気になる症状別に選べるスープ鍋やスタミナたっぷりの薬膳カレーが楽しめます。また、カフェタイムには、シンプルながら素材のフルーツの特徴を生かしたデザートが、漢方を煮出したお茶やオーガニックコーヒーなどと一緒に楽しめます。
ランチでいただいたのは、女性人気No.1の「美肌スープランチ」(1680円)。
独特の色合いのスープには、“不老不死の食材”ともいわれる烏骨鶏と薬効をもつ食材で、体質改善を目的とされる用いる薬である生薬をブレンドして出汁をとっています。青梗菜や豆苗、白菜、ゴボウなどお野菜も満載。優しい味わいのお豆腐に、上品な肉質の霧島豚肉と、うま味が凝縮されたスープ鍋です。スープは、深みのあるコクで、ほんのり苦みを感じた後から甘みが広がってきます。
スキンケアや冷えが気になる方には、ぴったりのお料理です。
また、日替わりで自由に飲める「安経茶」をいただきました。安らかにリラックスできる安経茶には、ジャスミンをベースとして、ナツメやくま笹、高麗人参と同じウコギ科の植物であるエゾウコギがブレンドされていました。
素材にこだわった料理がたくさんあるので、症状が気になる方はもちろん、バランスの良い食事をしたいと思う方にもおすすめです。
***すみ子のちょこっとZOOM UP***
漢方ミュージアムというだけあって、館内のギャラリーには、薬膳の基本となる生薬がたくさん展示されています。それぞれには効能や特徴が書かれているので、ライフスタイルにも役に立てる情報が記載されています。
また、ストレス指数や体脂肪、骨密度などの測定を無料で体験することができるので、現在の自分の体の状態を把握することができるでしょう。
ブティックのコーナーでは、ブレンドティーや健康茶、自然派化粧品の販売がされていました。でも、何を選んだらいいか迷うところです。そんな時に助けてくれるのが、専門家のスタッフの方です。状況に合ったアドバイスをしてくれるのが嬉しいと思いました。込み合う時間もあるようなので、訪れる際は、予約をしておくと安心かもしれません。
時間を忘れて、見入ってしまいましたが、身近な“食べる”ということをきっかけに、自身の体と向き合って、学ぶのも楽しいですね。
今回ご紹介したお店はこちら! 【ニホンドウ漢方ミュージアム】 ≪住所≫ 港区高輪3-25-29 前川ビル1F ≪営業時間≫ 営業時間は各施設毎に異なりますので、ご確認ください。 ≪定休日≫ なし ≪お問い合わせ≫ TEL : 03-5420-4193 詳しくはこちら(ホームページ) |
伊能 すみ子
INOU SUMIKO
食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』~アジアンフードディレクター伊能 すみ子~更新中
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