アンチエイジングニュース

「過食の原因:脳内物質が関係」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(375)

好物の食べ物を目の前に出されると、ついつい食べ過ぎてしまいます。

今回その原因として、麻薬のアヘンに似た脳内物質が盛んに分泌されるようになるために、過食が起こることが分かりました。

これは米国ミシガン大の研究チームが米科学誌カレント・バイオロジー電子版で発表した内容です。

(論文タイトル:Enkephalin surges in neostriatum are triggered by eating sweet rewards 
医学誌名:Current Biology, 20 September 2012 著者:A G. DiFeliceantonio他)

研究では、ラットに大好物のチョコレート菓子を与え、その時の脳内物質の変化を調べました。

すると、脳の新線条体領域に「エンケファリン」と呼ばれる化学物質が急増し、早くたくさん食べたいという衝動につながることが明らかになりました。

この脳の特定部分は、肥満体で病的に食べ過ぎる人がごちそうを前にしたり、麻薬中毒患者が麻薬摂取の映像を見たりした際に活動が高まることが知られている領域です。

今後、エンケファリンの働きが人間でも詳しく解明され、薬などで制御できるようになれば、過食や麻薬中毒の治療法になると期待されています。

ちなみに、早食いの人は満腹感を覚える前に食べ過ぎてしまう傾向がありますが、エンケファリンは食べ始め直後に増えるため、その作用を避けるためには、ゆっくり食べることが大切とのことです。 

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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