アジアdeアンチエイジング紀行~台湾の薬膳~
毎日の日差しに、ぬくもりを感じる春ですね。
順調に桜前線は北上して、春の行楽シーズン突入となりました。
今年の大型連休は、カレンダー的にお休みが前半と後半に大きく分かれ、円安もあって国内旅行の人気が復活したとか。
休みが取れやすい大型連休だからこそ、自分へのご褒美もかねて、旅をしたり、美味しいものを食べに行ったり、友人や家族で楽しむ方。また、故郷へと向かう家族連れなどなど。普段感じることのできない、有意義ある時間も心のアンチエイジングになりますね。
今回は、日本をちょっと離れて、アジアのアンチエイジング食材を求めて旅をしてみましょう。
***訪れる人が恋する麗しの台湾***
東京から飛行機で3時間半ほど、沖縄県石垣島の西側にある台湾は、亜熱帯性気候で四季の変化がほとんどなく、東アジアの中でも温暖な気候に恵まれています。
旅の玄関口となるのが台北です。
昔ながらの風景を描くエリアと近代的ビルが立ち並ぶエリアが混在する台北は、情報の発信源ともなっています。
台北のマンハッタンと呼ばれる中心地には、地上101階、高さ509mの超高層ビル「台北101」があり、ランドマーク的存在です。「国立故宮博物院」は、約65万点もの所蔵物があり、翡翠の自然な色の彫刻が印象的な“翠玉白菜”が有名。さらに、郊外にでれば有数の温泉地があり、日本の有名旅館も進出しているほどです。
東側には、宮崎駿映画の舞台のヒントとなった、ノスタルジックな風景を楽しめる九?エリアがあり、人気の観光スポットとなっています。
台湾の食といえば、屋台料理は訪れた観光客の胃袋を満足させてくれます。中でも夜市は活気ある屋台が軒を連ねるのです。台湾庶民が大好きな素朴な味わいの麺類や鉄板料理などが豊富にそろっています。
また、飲茶や台湾茶、火鍋料理や薬膳料理など、漢方の要素満載の女性に魅力的な美食にも出会うことができるでしょう。
***体の中から美しくなれる食宝の山「迪化街」***
台北の西部に「迪化街(ディーホワチェ)」という乾物の問屋街があります。
このエリアは、20世紀初頭に建てられたバロック様式のレトロ感あふれる建物が多く、まるでタイムスリップしたような感覚になる趣です。
問屋街だけあって、なじみのある薬膳食材から日本ではなかなかお目にかかれない貴重なフカヒレやナマコなどの高級乾物まで、さすが食の宝庫・台湾です。
店頭はもちろん、店の奥までずらりと並んだ乾物は圧巻といえるでしょう。
海鮮類や果実・花・樹皮、などの植物類。見ているだけで、自然からの恵みを視覚や嗅覚で感じることができます。
「これからの季節に取り入れたい食材は?」
色々とありすぎて、何を選べばよいか悩むところですが、中でも、アンチエイジングとしてこれからの季節に取り入れたいのがナツメ!
赤い実が鮮やかなナツメは、新しい環境で気持ちに変化が現れるこの時期に最適なのです。
中国では「1日7粒のナツメは医者しらず」、という言葉があるくらい、体の疲れはもちろん、気分が落ち込む時や食欲不振の時などにも、強壮作用や鎮静作用があるとされています。鉄などのミネラルが豊富なので、女性で貧血気味や生理痛にお悩みの方におすすめです。
鍋料理や粥などに使用すれば、凝縮された甘みがスープに染み渡ります。
また、アルコールに漬け込んで薬膳酒にしても、血の流れをよくしてくれるでしょう。
***乾物を取り入れた客家料理***
台湾でも、ビーフンが名産の新竹県や苗栗県などの郷土料理として知られる客家料理。客家の人々は中国の中でも、昔から集団移動することで生活拠点を転々としていました。そのため乾物は貴重な食料で、様々な料理が作られてきました。
塩辛さと香味、油が基本とされる客家料理ですが、塩漬けされた食材は、腐敗しにくく保存が容易です。香りを豊かにすることで食欲増進となり、満腹感もあります。油は、客家人の重労働に耐える体力を十分に補うものでした。
乾燥したイカやエビ、シイタケや大根、豆腐などを戻して炒めたり、高菜や塩漬けの豚肉など、保存の効く食材で食事を楽しんだりしています。
日本でも、乾物の需要は昔から重要なものでした。
うま味を凝縮するだけでなく、心も体も潤すことのできる薬膳食材。
アジアの食の知恵ともいえる医食同源、陰陽五行の想いが詰まっているのではないでしょうか。
伊能 すみ子
INOU SUMIKO
食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』~アジアンフードディレクター伊能 すみ子~更新中
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