寂しい男性は心臓疾患になりやすい
「寂しい男性は心臓疾患になりやすい」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(342)
若い人はご存知ないかもしれませんが、俳優の鶴田浩二さんは、背中から郷愁が滲み出ていて、男性の魅力たっぷりの人でした。ところが今回、そのような寂しさをたたえた男性は心疾患になりやすいという話題をご紹介します。
米国の研究によると、友人が少なかったり家族がいなかったりする男性は、炎症を引き起こす血液成分が高くなっており、その結果、心疾患に陥りやすいことがわかりました。
これはワシントンDCで開かれた、米国心疾患年次総会(American Heart Association’s annual conference on cardiovascular disease, epidemiology and prevention)で報告されたものです。
研究はFramingham心臓研究の一環として1998年~2001年におこなわれ、平均年齢62歳の米国人男女3,267名について調べたものです。
これらの人の血液中の炎症マーカーであるインターロイキン6(interleukin-6, IL-6)レベルを測定し、同時に結婚歴、信頼できる親戚や友人の数、信じている宗教の有無、仕事以外の社会活動などについて調査しました。
その結果、IL-6のレベルが高く、また社会生活の度合いの低い男性では、心疾患に罹るリスクが高いことがわかったそうです。
面白いことに女性の場合では心疾患の罹患率と、このような社会生活の有無、血液中の炎症マーカーとの関係は見られなかったそうです。
女性の場合は、他の人との関係については、質よりも量が問題となるのかもしれないとこの研究者は考えているようです。
さて、炎症反応は血液中の白血球により引き起こされますが、その結果、血管壁が詰まるアテローム性動脈硬化が起こりやすくなることが知られています。
したがって炎症マーカーであるIL-6が高いと、心疾患などの循環器系の障害が起こることは十分に考えられます。
また、社会生活がうまくいかないと炎症マーカーの値が高くなる理由として、社会生活がうまくいかない男性は、健康状態が悪くことが多く、またストレスを感じた時に気分を晴らすことができず、ウツ症状が出やすくなることが考えられるそうです。
そして健康であるためには、よい友人と家族を持つこと、地域コミュニティに参加すること、社会活動を行うこと、そしてよいパートナーを持つことであるとしています。
男性の皆様、孤立して寂しい人生は、健康にも良くないようですのでご注意くださいませ。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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