ニンニク:冠動脈障害や大腸癌予防に有効
「ニンニク:冠動脈障害や大腸癌予防に有効」
――ハセ博士ヘルシー情報最前線(349)
このところ、ニンニクが健康によいことの科学的証明が相次いでいます。あの臭いはいただけませんが、確かにキムチやニンタレの焼肉を食べると元気が出るような気がします。
そこで今日はニンニクの話題をお送りいたします。
(1) 大腸癌の元になる大腸ポリープを抑制する。
これは、広島大学の田中信治部長らが、米国ワシントンD.C.で開かれた第4回ニンニク国際会議「Significance of Garlic and its Constituentsin Cancer and Cardiovascula Disease」で報告したものです。
大腸ポリープは、がんに移行する場合があり、早期に大腸ポリープの段階で除去することが必要です。
研究では、内視鏡検査で大腸にポリープが見つかった12人の人を対象にニンニクの効果を調べました。
ニンニクを、2年間熟成させて抽出したエキスを用いて、1日2.4ミリリットル服用する群(8人、A群)と、0.16ミリリットル服用する群(4人、B群)に分け、一年間それらのニンニクエキスを飲んでもらいました。
その結果、A群では5人でポリープの数が減少しており、ポリープの直径も平均1ミリ以上低下していたそうです。
一方、B群ではポリープ数が減った人はなく、ポリープの直径が3ミリ以上増えていました。
この結果から、ニンニクエキスがポリープの発生を抑制し、癌化を抑えると考えられるということです。
(2)ニンニクエキスが、動脈硬化症の進展を抑える。
これは、米国UCLA-Harbor医学センターのM.J.Budoff准教授らが、(1)と同じ国際会議で報告したものです。
研究では、動脈硬化症のひとつであるアテローム性動脈硬化症の患者さん23名に、ニンニクエキスを飲んでもらいました。
その結果、硬化症の指標となるムスコアが、ニンニク摂取群での増加率は7.5%に留まっており、プラセボ群の22.2%増に比べて、大幅に症状が抑制されていることがわかりました。
この結果から、ニンニクエキスは動脈硬化の進展を抑え、高血圧などの生活習慣病の予防に有効であると考えられます。
ニンニクは、古来より滋養強壮に効果があるとして、世界中で使われてきたものです。
問題の臭いですが、現在臭いを抑えたサプリメントが入手できるようになっていますので、お試しになられてはいかがでしょうか。
なお、ニンニク成分は抗凝固作用をもっていますので、大量に摂取する場合や医薬品を服用中の場合には、念のため注意なさってください。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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