アンチエイジングニュース

「懐かしい香りが脳を活性化する」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(366)

以前嗅いだ懐かしい香りが快い気分を引き起こし、過去の体験の記憶に関する脳の働きを活性化し、健康状態も改善するそうです。

これは過去の記憶をよみがえらせる「プルースト現象」と呼ばれる現象だそうで、花王感性科学研究所などの研究グループが、徳島市で行われた2013年度日本ストレス学会で発表したものです。

研究では、ボランティアの男女計10人(20~35歳)に、自分が快いと感じた体験を思い出す香水を2分間嗅いでもらい、PET(陽電子放射断層撮影)で脳の状態を観察しました。

そして、そのような快感を引き起こさない匂いを嗅いだ時と比較しました。

その結果、「プルースト現象」を起こす香りでは、快感などを判断する「前頭眼窩(がんか)野」と呼ばれる大脳の前部や、自己記憶に関わる「後部帯状回」と呼ばれる大脳の内側が同時に活性化することが分かりました。

さらに、その際、炎症を起こす体内物質が血中で減少しており、体の状態が良くなることも確認できたということです。

実際、このようなプルースト現象を起こす香りを嗅ぐと、「出勤前のお父さん」「果物を食べた夏休み」「友達との買い物」などを思い出し、「快さ」や「懐かしさ」の感情が強くなっていたそうです。

ミカンの香りを嗅ぐと、あの甘酸っぱい初恋のことを…。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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