アンチエイジングニュース

2013年11月12日、時事通信ホールで「アンチエイジングセミナー2013 食から始めるアンチエイジング」を特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク主催で開催した。今回はアンチエイジングと関連の深い「」がテーマ。127人の方が参加した。

司会には岡本るみ子氏(国際ホリスティックフェイス協会代表)、講師として溝口 徹先生(新宿溝口クリニック院長)、堀知佐子氏(アンチエイジングレストランリールオーナーシェフ・管理栄養士)を講師にお迎えし、アンチエイジングネットワーク理事長の塩谷信幸による挨拶で開始した。

●塩谷信幸氏
挨拶 『食から始めるアンチエイジング』

 塩谷氏は、美味しく食べれば何でも栄養に
 なる。
 家族と食事を分け合って食べることが大切で、
 核家族化が進み、子どもの非行の根は
 そこに原因があるのではないか。
 今回勉強したことをぜひご家庭で
 活かしてもらい、家族の絆を深めてもらいたい
 と挨拶した。

●溝口徹先生
  『30歳からの栄養とアンチエイジング ~腸内環境と老化の関係~』


溝口先生は、体調不良や一部の疾患は栄養バランスの乱れが原因と考え、栄養療法を中心に考えた「分子栄養整合医学」による診療を行っている。今回のセミナーでは腸内環境と老化の関係をお話しいただいた。

溝口先生によると、腸の老化には、アレルギー・加齢・食習慣・ストレス・薬剤などを要因とする腸粘膜の炎症持続が関係していて、腸内細菌のバランスにより左右されるとのこと。

30代は、筋量・骨量・運動能力などが低下するが、それとともに腸の老化が繋がり、動脈硬化・肝臓病・糖尿病などの生活習慣病へと繋がっていくとのこと。

抗生物質を使用すると、腸内の菌の数が一時的に減り、その後は悪玉菌が増えるためできるだけ抗生物質は使わない方が良いと語った。さらに「腸脳相関」といって腸と脳は直接相関していて、ストレスで腸内細菌は変化すること、頭で怒りを感じると腸内細菌はより悪性化するとも説明した。

最後に老化に対するアプローチとして、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)という痛み止めを
日常的に少量飲んでいる人は炎症を抑える効果が高く、癌や動脈硬化にもなりにくいという説があるため、米国ではアスピリンを飲んでいる人もいること、イヌイットは魚油、山岳地帯の人たちはチーズやヨーグルトなどの発酵食品を摂っていること、キノコ類を食べている人は炎症が起こりにくく、老化が進みにくい。赤ワインが良いといわれているが、実はチーズが良いのではないかとの仮説を紹介した。そして最後に、腸の健康は脳を含めた全身疾患の病態に影響を与えるため、腸内環境に気を配ることがとても重要と締めくくった。

●掘知佐子氏『アンチエイジングクッキングの方程式』

アンチエイジングレストランリールオーナーシェフの掘氏はステージ上で調理のデモンストレーションをおこないながら、それぞれの食材のポイントや調理方法について説明した。

◎鶏の胸肉について
鶏の胸肉は持久力を持たせる成分が入っているので疲れた時に摂ると良い。鶏の治部煮は粉が水分を吸い最初に周囲のデンプンが固化するため、鶏肉が硬くなりにくい。

◎人参について
人参は皮をむかず、よく洗剤で洗うと良い。また、ピーラーで皮をむいて皮も食べると良い。
緑黄色野菜はよく油と一緒に摂ると栄養素を摂取しやすいと言うが、炒めなくても油をかけるだけでも良い。ただしn6油(コーン油、ひまわり油、紅花油、ゴマ油など)の摂り過ぎはアレルギーの原因になったりするので注意が必要である。

◎キノコについて
キノコを炒める時は最初に油をしかず、あとから少しオリーブオイルを入れると良い。

◎ネギについて
ネギはビタミンCがすごく多い。またネギに含まれるアリシンが、今回一緒に合わせた卵の成分ビタミンB1と結びつくと、アリチアミンに変化して疲労回復効果が得られるとされている。食材の組み合わせも重要なポイントである。

◎じゃがいもについて
デンプンは75度が変性温度で、ゆっくりと炒めていくことが大事である。
糖分とアミノ酸が過熱によって変性することをメイラード反応という。

◎味噌について
白味噌よりも赤味噌の方が、抗酸化作用が強い。

以上の説明をおこない、
あらかじめ掘氏のレストランで調理したアンチエイジング弁当を紹介。
セミナースタッフが来場者全員にアンチエイジング弁当とアンファー社提供のスムージーを配り、試食会をおこなった。

●協賛企業より
スムージーを提供したアンファー社は試食会の時間を利用して、今回提供した「フレッシュデリ」を、日本農産工業は「ヨード卵光」を紹介した。

●パネルディスカッション
岡本氏司会のもと、講演者の溝口先生、堀氏とAAN理事長の塩谷がステージに登場し、来場者からの質問に回答する形でパネルディスカッションをおこなった。

【1】サプリメントについて
溝口先生

クリニックではサプリメントを病気治療に活用しているため、通常量の100倍、200倍を飲まないといけないが、一般的には不足した栄養を摂るのは良いと思う。
掘氏
食事から栄養を摂るのが基本である。ただし、加齢とともに体にさまざまな変化がでてくる。サプリメントには過大な期待をせず、摂取することで気持ちが良くなるなら続ければ良いと思う。
塩谷氏
厚労省においても、サプリメントをどう評価するか定まっていない。最近の食材は見た目は良いが栄養素が昔の1/10と言われている。飲むとなんとなく調子良いなど、個々人が良ければサプリメントも良いと思う。ただし、本当にそのサプリメントに成分がいるのか、原産地などに対する疑問もある。費用対効果はご自身で飲んで考える他ないのではないか。

【2】アンチエイジングに良い味噌汁の具は
掘氏

自分が美味しいと感じる食材なら何でも良いと思う。塩分の過剰摂取が気になる方は、じゃがいもとわかめの味噌汁が良いと思う。
溝口先生
キノコ類が良いと思う。納豆汁はポリアミンが摂れる。

【3】体を温めるスムージーとは。どれくらい温めたら栄養素は壊れないのか。
掘氏

水で割る量減らすと、冷たさを感じにくいと思う。凍っている素材なら常温に戻して水の量を少なくしてはどうか。温めると熱によりビタミンが壊れるので人肌くらいまで。牛乳や豆乳を少し温めてミキシングしてはどうだろうか。

今後も皆様が知りたい、聞きたいと思われていることをリサーチし、アンチエイジングセミナーの企画に活かしていきたい。

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