「女性の肌の老化は、男性よりも早く進行する」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線（３８３）

赤ちゃんの肌の柔らかいこと、うれしくなりますね。ついつい触ってしまいます。
ところがあんなに柔らかかった肌が、いつのまにか…。
さて、レーザーを用いた研究により、女性の皮膚は男性よりも早く老化が進むことが分かりました。
これはドイツのフレードリッヒ・シーラー大学の医師が、全米光学会の専門誌Optics Lettersに報告した内容です。

研究では、赤外線レーザー光パルスを用いた最新技術を使用し、皮膚深層部の組織を調べました。
ちなみに今までは、皮膚の組織を取って顕微鏡下で観察するのが一般的な検査法でした。

皮膚組織は、大きく表皮層と真皮層に分けられますが、今までの方法では皮膚の深い部分の真皮層がどのような状況であるかが分からず、実際に老化そのものがどの程度進んでいるかが分からなかったのだそうです。

今回、新しい技術を用いて調べたところ、皮膚の柔らかさを保つために必要なコラーゲンやエラスチンの再生能力が、女性の方が男性よりも早く失われていくことが分かりました。
体内コラーゲン量の減少や、コラーゲンの質的な変化がおこると、皮膚バリヤー機能の低下や水分保持能力の低下がおこり、老化が進みます。

すなわち、コラーゲンの再生能力が、美肌を保つには重要と考えられているのですが、その再生能力が女性では年齢とともに低下していくということです。

今までも老化ラットのコラーゲンを摂取して、皮膚角質層の代謝回転能への影響が調べられたことがありますが、今回の研究で人でも同様であることが実証できたわけです。

皮膚の老化は２０歳前後から始まりますが、この皮膚の老化を予防するためのスキンケアとしては、コラーゲンやエラスチンなどを再生する能力を高めるのが一番のようです。

ところで皮膚の老化に一番の影響を与えるのは紫外線です。
漁師の人の年齢を聞くと、思っていたより若かったりして驚くことがありますが、紫外線を浴びないように注意することも重要です。

ハセ博士＝薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。