結婚生活は心臓に良い?
「結婚生活は心臓に良い?」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(386)
結婚すると心臓の健康状態が良くなるのに対し、離婚や死別は心臓疾患をおこさせ心臓病の発症率を高めるそうです。
これは米国人350万人の調査により明らかになったもので、ワシントンDCで開かれた2014年度米国心臓病学会(American College of Cardiology)で発表された内容です。
なおこの研究は、心臓の健康が結婚歴との関係を調べた研究としては最大規模のものだそうです。
(発表者: Carlos Alviar, M.D., & J. Jeffrey Marshall, M.D/所属先: Langone Medical Center, New York City/発表学会: March 29, 2014, presentation, American College of Cardiology annual meeting, Washington, D.C.)
研究では2003年~2008年の期間に、全米50州で行われた受診料100ドルのスクリーニング検査プログラムに参加した米国人350万人のデータを解析しました。
その結果、以下のことが明らかになりました。
1)何らかの血管系の病気や腹部大動脈瘤、冠動脈疾患、脳血管障害などの発症率が、離婚した人では独身者に比べて有意に高い。
また、配偶者と死別した人は、結婚を一度も経験していない人に比べて、何らかの血管系の病気と冠動脈疾患の発症率がわずかではあるが高かった。
2)このような傾向は50歳未満の人々では顕著で、若年の被験者ほど強い。
50歳未満のグループでは、結婚している人は心臓疾患や動脈疾患の発症率が12%低かった。
また、51歳以上60歳以下のグループでは、心臓疾患の発症率に7%の低下がみられ、61歳以上のグループでは4%の低下がみられた。
以上の結果を見ると、結婚生活は心臓疾患の発症と強く関係していそうですが、今回のデータは高額の検査に参加した人を対象としているため、一般人や経済的弱者であるマイノリティー(非白人層)では異なる可能性があるそうです。
さらに、結婚生活の中身が評価されていません。
結婚生活に満足している人、不満な人での結果が気になります。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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