アンチエイジングニュース

「赤ワイン:歯周病の予防に有効」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(392)

ワイン好きの人にはうれしいニュースを見つけましたので、お知らせします。

歯周病は、歯垢に存在する細菌による慢性の感染症です。
これに感染すると歯が抜け落ちるだけでなく、糖尿病や心臓病の原因となったり、また妊婦さんの場合では異常分娩の危険率も高くなったりすることが知られています。

米国の医学統計では、米国人の約80%が歯周病に罹患しているとされており、侮れない感染症としてクローズアップされています。
この歯周病の予防に赤ワインが有効という報告です。

これはカナダ・ケベック州にあるLaval大学のFatiah Chandad博士らが、オーランドで開催された米国歯科研究学会(AADR, the American Association for Dental Research)で発表したものです。

研究は今のところマウスの細胞を用いたものですが、赤ワインに含まれる抗酸化物質ポリフェノールには、様々な障害を引き起こすフリーラジカル生成の原因となるタンパクを阻害し、フリーラジカル生成を遅らせる働きがあることを明らかにしました。

すなわち歯周病菌によって炎症反応が起こると、フリーラジカルの生成が促進されて炎症や出血が起こり、そのために歯肉組織や骨が徐々に腐敗してついには歯を失うことになります。ところが赤ワインには、このフリーラジカルの生成を抑制すると言う考えです。

しかしこれまでも、ビタミンE、C、ベータカロテンなどさまざまな抗酸化物質が健康維持に良いといわれてきましたが、実際にヒトでも有効であるとの明確な証明が出来ていないのが現状です。

今回の報告も、フレンチパラドックスとして心疾患の予防に有効な赤ワインが歯周病に対しても有用である可能性が高いという訳ですが、さらに研究を重ねて頂き、ヒトでの研究結果に期待したいと思います。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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