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「カレー粉:アルツハイマー型認知症に」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(393)

カレー粉の元になるウコンには、肝臓の働きを高める作用があり、二日酔い予防ハーブとして有名ですね。
私は飲み会の前には、必ずコンビニに立ち寄り、ウコン入り飲料を飲んでから、大いに盛り上がるようにしています。
さてこのカレー粉には、アルツハイマー型認知症にもよい可能性があることが分かりました。
日本人の大好きなカレーに関する話題ですので、取り上げてみました。
カレーに含まれる化学物質が、免疫システムを活性化し、アルツハイマー痴呆に共通して見られるアミロイド斑点を消失させるということです。
これは、アルツハイマー病に関する専門誌であるJournal of Alzheimer’s Disease に、米国カルフォルニア大学ロスアンジェルス校医学部のMilan Fiala博士らが報告したものです。

身体には、免疫システムの一種であるマクロファージと呼ばれる細胞があります。
この細胞は、体内に入ってきた細菌などの異物を食べて分解する細胞で、身体の中に溜まった老廃物を除去する作用もあります。
ところで、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳には共通して、アミロイドベータといわれるタンパク質からなる斑点が見られ、アルツハイマー病の原因ではないかとされています。
そして、先程のマクロファージには、このアミロイドベータタンパクも分解する作用が知られています。
すなわちマクロファージを活性化すれば、アミロイドベータタンパク質が分解され、アルツハイマー痴呆にならなくなることが期待されるわけです。

そこでこの研究者等は、マクロファージを活性化させる物質として、抗酸化物質が効果があるのではないかと考え、いろいろな抗酸化物質について調べたそうです。
そしてついに、カレー粉に含まれるクルクミン(curcumin)にそのような活性作用があることを見出したのです。
研究では、アルツハイマー型認知症の患者さん6名(65歳~84歳で、いずれも軽度の初期症状の患者さん)と、健康なボランティア3人から血液を採取し、マクロファージ細胞を分離しました。
次に、様々な抗酸化物質をマクロファージに加え、培養細胞のアミロイドベータタンパク質の量が変動するかどうかを調べました。

その結果、クルクミンを加えた時には、6名のアルツハイマー痴呆の患者さんのうちの3名から採取したマクロファージが、アミロイドタンパク質を浄化する作用が強まっていることがわかりました。
一方、健康な人からのマクロファージは、元々アミロイドベータを消去する能力が高いのですが、クルクミンを加えてもその活性は強くなっていなかったそうです。

以上の結果から、クルクミンは、アルツハイマー痴呆の少なくとも50%の患者さんのマクロファージを活性化し、アミロイドタンパク質を消去する作用を強めることが明らかになりました。

クルクミンには以前から、炎症を抑えたり、抗酸化作用を強めたりする効果が知られていますが、アルツハイマー型認知症の新しい治療方法となる可能性が期待されるわけです。

今回の結果はまだまだ初歩的なもので、少数例の実験に過ぎないのですが、軽度のアルツハイマー型認知症の患者さんには有効である可能性があります。

というわけで、今晩はカレーになさってはいかがでしょうか?

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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