アンチエイジングニュース

「コーヒーを飲むと糖尿病になりにくくなる」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(409)

コーヒー好きの人に朗報です。

コーヒー、特にカフェイン抜きのコーヒーを飲むと、2型糖尿病のリスクが下がるという話題です。
実は今までも、コーヒーを多く飲む人には糖尿病にかかりにくいといわれてきたのですが、これが実証されたというものです。

これは、ミネソタ大学のMark A. Pereira博士らが、内科学誌Archives of Internal Medicine (Arch Intern Med. )に報告したものです。

研究では、アイオワ州に住む2万8,812名の更年期の女性を対象にし、11年間にわたってコーヒーの摂取と糖尿病の関係について調べました。

まず研究開始をした1986年の時点で、これらの女性の年齢、BMI、運動の有無、飲酒及び喫煙歴などの糖尿病のリスクとなる事項や、食事や飲み物及びその種類などについても調べました。

その結果、約半数の女性1万4,224人が一日1-3杯のコーヒーを飲んでおり、一日6杯以上飲む人は2,875人、4-5杯飲む人は5,554人で、1杯以下の人は3,231人、全く飲まない人は2,928人だったそうです。

そして11年後に、これらの人全員に健康診断を受けてもらい、健康状態を調べました。
その結果、1,418人が2型糖尿病と診断されたそうです。

ところがコーヒを飲む人では糖尿病になっている人が少なく、一日6杯以上飲む人は、全く飲まない人に比べて22%も糖尿病になる確率が低くなっていることが分かりました。

特に一日6杯以上の「カフェイン抜きのコーヒー」を飲む人は33%も糖尿病に罹る頻度が低下していたそうです。
次にその効果がコーヒーそのものによるものか、或いはコーヒーを飲む際に同時に摂る他の成分によるのかを調べました。

特に、マグネシウムはコーヒー豆に多く含まれていることが分かっていますが、コーヒーを多く飲むと同時にマグネシウムも多く摂ることになります。 
マグネシウムは体内に摂り込まれると糖代謝を活性化し、その結果、2型糖尿病を抑える可能性が考えられるわけです。そこでマグネシウムなどのミネラル分について、糖尿病の発症とに関係があるかを見たところ、あまりその影響が無いことが分かりました。

すなわち、コーヒー自身に含まれる有機成分が糖尿病の低下に寄与していると考えられ、その候補として、ポリフェノールや抗酸化物質などが考えられるとしています。
今後その成分を調べる予定だそうですが、一個だけの成分が効果をもたらしているとは考えにくく、コーヒーに含まれるいくつかの成分が複合的に作用している可能性が強そうです。

さて今回の報告のように、年齢や体重に関係なく、コーヒーを多く飲むと糖尿病のリスクが下げると思われます。
しかし、カフェインを摂り過ぎると頭痛などの副作用が生じる場合がありますのでご注意ください。

また、コーヒーに砂糖を入れる場合には、糖分の摂りすぎになり、逆効果です。
したがって、以上を総合的に考えると、カフェイン抜きのブラックコーヒーがよいように思えます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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