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「アジアン・パラドックスとは」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(415)

アジア諸国では、多くの人が喫煙するにもかかわらず、心疾患やがんの発生率が低いことが知られており、“アジアン・パラドックス”と呼ばれています。

”フレンチ・パラドックス”は、フランス人が脂肪の多い美食をするにも拘らず心疾患が少なく、このパラドックス(矛盾点)は、赤ワインを飲むためであり、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用のおかげであるといわれています。

それと同様に、“アジアン・パラドックス”は、お茶、特に緑茶を多く飲むことと関係があるのではないかという説が、エール大学の医学者から発表されています。

これは、エール大学医学部外科のBauer Sumpio教授が、全米外科学誌(Journal of the American College of Surgeons)に報告したものです。

教授によると、アジアン・パラドックス全てを説明できないかもしれませんが、アジア諸国における心疾患とがんの発生率が低いことを説明できる、ということです。

この総説は、今までに緑茶に関する100以上の医学研究論文を見直したものです。

アジア諸国では一人あたり平均一日1.2リットルの緑茶が飲まれていますが、そこには抗酸化物質としてよく知られているポリフェノールの一種であるエピガロカテキンガレート(EGCG)が含まれていることが知られています。

以下、この論文で再確認できた効果について述べますと、

1)EGCGは、心疾患の原因物質である悪玉コレステロールであるLDLの酸化を防ぐ。

2)EGCGが血小板の凝集を防ぎ、血液中の脂肪分を調節したり、平滑筋細胞の分化や流動性を高めて、心疾患の原因因子を減少させるのにも有効。

3)EGCGは、がんの増殖も抑制する。

4)消化器系の機能をも高め、アルコールの代謝や、腎臓や肝臓或いは膵臓の機能、更に皮膚や目の防御効果や疲労感を解消するのにも有効。

5)お茶には、アレルギーや糖尿病、細菌やウイルス感染、虫歯予防、炎症の軽減、更に精神安定化効果が期待される。

以上のごとく、緑茶には様々の効果があることが確認できたとされています。

しかし、喫煙者は、まず最初に喫煙をやめることが第一、とも強調されていますので、念のため…。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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