アンチエイジングニュース

「ニンニクは、細かくしてから調理する。」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(439)

ベランダ栽培の季節がやってきました。
今年はニンニクに挑戦です。

そこで、ニンニクを用いた料理をする場合には、ニンニクをよくつぶしておいてから調理したほうがよいという話題です。

ニンニクには、血栓ができるのを防いで動脈硬化や心臓病を予防したり、血糖値や血中コレステロール値を下げ、あるいはがんを予防するなど、さまざまな効果が認められています。
しかし、料理中に加熱するとこのような有効成分が容易に分解してしまうため、健康目的では過熱は避けたほうがよいといわれています。

ところが、最初にニンニクを破砕した場合は、そのような分解は起こらないことが、アルゼンチンのCuyo国立大学(Universidad Nacional de Cuyo)農学部のClaudio Galmarini博士らが報告しています(農業食品化学誌Journal of Agricultural and Food Chemistry)。

丸ごとの生ニンニクを6分間加熱したところ、この有効成分は完全に分解してしまったのですが、最初によくつぶしておき、その後に煮沸した場合には血液凝固を抑える成分は分解されなかったそうです。
また、生ニンニクをつぶしておいた場合には、華氏400度(204℃)のオーブンで加熱料理しても、血液凝固を抑える成分は壊れなかったということです。

以上の結果から、料理前によくニンニクをつぶしておき、その後に加熱料理をした方が健康のためによいと結論しています。

さて、ニンニクをつぶしたりすると、細胞の中に含まれているアリイナ-ゼという分解酵素が出てきて、本来臭いのない「アリイン」を分解し、あの臭う「アリシン」へと変化させます。

この「アリシン」が、健康をもたらすニンニク成分の効果の本体なのですが、ビタミンB1があると結合して、より安定で体内に吸収されやすい「アリチアミン」という物質になります。

ですから、ニンニクとともに、ビタミンB1を多く含む豚肉などと一緒に食べると、ニンニクの有効成分が効率よく身体に取り込むことができます。

さて問題はその臭いですが、最近の研究で、アリシンが分解してできる「アホエン」という成分は無臭で、かつ安定なことがわかり、期待を集めているようです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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