アンチエイジングニュース

口腔ケアとアンチエイジング

ヒトの体に常在する常在菌は100兆以上。これはヒトの細胞数60兆を大きく上回る数です。
そして腸内は最も多くの常在菌が存在する部分です。また腸は「第二の脳」とも呼ばれています。
その理由は脳と腸は互いに自律神経やホルモン等の情報伝達物質を通して影響を及ぼし合っているからです。
例えば試験や大切な会議の前では緊張し、下痢や便秘といった症状が現れることは知られています。それは過敏性腸症候群と呼ばれています。性差において女性の場合では、ストレスを受け自律神経のバランスが崩れてしまい、冷え・肩こりが起こります。
反対に、胃腸の働きが低下すると脳が不快な経験と認識するため、脳の反応が消化機能を悪化させるとも言われています。
私達は脳で考え食欲が湧き上がりますが、消化管から放出されるホルモンにより脳へと「食欲」の指示が出されることも分かり始めてきました。
「断腸の思い」や「はらわたが煮えくり返る」など、腸と脳(心)を表す言葉も多くあり、昔から腸脳相関の考えがあったのかもしれません。

◎腸と口腔の深いかかわり
このように腸の働きが見直され、近年では「腸トレ」「腸活」「腸免疫」のような記事をよく見掛けるようになりました。
この腸が実は口腔と深い関わりがあることはご存知でしょうか?
生物は生きるためにエネルギーを得る必要があるため、一番初めに口ができたと言われています。その後、取り込んだ栄養素を排出するために消化器である「腸」ができたとも言われています。
ゆえに口と腸が生物の始まり、私達「ヒト」の始まりといえるわけです。

消化器とは、口・食道・胃・小腸・大腸・肛門まで数種類の器官でつながっている1本の管です。それは体内を通過している「内なる外」ともいえます。
消化器の始まりでもある口腔には様々な常在菌が住んでいますが、30代で80%・40代で90%の罹患率である「歯周病菌」が腸内細菌叢のバランスを崩し、そのために様々な疾患の発病の原因になっていることが分かり始めてきています。
ではなぜ歯周病菌が腸内細菌叢のバランスを崩すことができるのでしょうか?
それは、飲み込んでしまった歯周病菌が腸内まで到達し、悪玉菌を増やし、腸内に存在している全体の60%~70%を占める免疫細胞の働きを弱めてしまうことが原因でした。
免疫細胞の働きを弱めるということは「免疫力の低下」ともいえます。

◎腸内細菌の重要な働きとは
腸内細菌には以下のような重要な働きがあります。

(1)有害なものが腸内に感染するのを防ぐ
(2)免疫の働きを活性化する
(3)消化を促進する

しかし腸内細菌叢のバランスが崩れてしまえば、上記3つの働きが弱まることになり、結果、免疫機構が低下し病気にかかりやすくなるのです。
腸内細菌と全く異なる口腔細菌が入り込むことで腸内細菌のバランスを大きく変化させて、歯周病菌による内毒素を増加させ様々な臓器・組織に炎症を引き起こしてしまう。これが口と腸の深い関係です。

腸を鍛え、腸を綺麗にし、食事をコントロールすることも大切ですが、消化器の始まりである口、口腔内を清潔に保つことは腸のみならず全身への影響を考慮すると最重要項目だと筆者は思います。
また、お肌と腸の関係は多くの方が周知となっていますが、美肌のためにも「口腔ケア」は必需であることは「口と腸の関係」を知った方なら納得いただけると思います。

◎ご自身に合った、カスタムメイド・ケアを!
口腔ケアはお一人お一人異なります。
口の大きさ・唾液の量・歯の治療内容・粘膜・嚥下(飲み込み力)・年齢・季節・体調・性差・既往歴・現在歴・歯ブラシ・・・・
その方その方に応じた「カスタムメイド・ケア」が基本です。
歯科医院への受診は「虫歯治療」から「全身疾患予防」に移り変ってきました。
口腔ケアのメインテナンス期間は人それぞれですが、最低でも3か月に1度(年に4回春・夏・秋・冬)は国家資格である歯科衛生士、プロにメインテナンスをしてもらうことも腸トレ・腸活・腸免疫に繋がるのだと知って頂けたらと思います。
春、今年からは口腔ケア、カスタムメイド・ケアを受けられてみてはいかがでしょうか?

上野 清香(UENO SAYAKA)

ナチュラルビューティ研究所(ナビけん.com)代表
上野歯科医院副院長
抗加齢医学会専門指導士
顔ヨガ講師
フェイスストレッチ講師
メディカルデンタルエステティシャン講師
ドライマウス専門指導士
英国予防医学機関公認フェイスエクササイズトレーナー
重太みゆき公認M.snow(R)スマイルトレーナー

》健康・美をナビゲートする『ナビけん.com』

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