年々夏の暑さが長引いて秋が短くなっていいますが、とっておきの秋を堪能したいものですね。そこで今回は、秋を求めて東京・上野を訪れました。

題して、「アンチエイジングな秋を探そう！」

上野といえば、上野公園内には美術館や動物園があって、芸術の秋にぴったりの感性を湧きたてられる題材がたくさん見つけられますね。また、味覚の秋に訪れたい食の宝庫であるアメ横など、ワクワクする場所がたくさんあるので、アンチエイジングな秋を探しに行きましょう。
※本文の価格はすべて税込み。

食物繊維たっぷり28種類のきのこが凝縮したきのこ鍋

まずは、JR上野駅のお隣の御徒町駅からスタート。駅から3分ほど歩いて訪れたのは、きのこ鍋・きのこ料理専門店「何鮮菇（ホーシェング）」です。きのこは通年流通していますが、旬を迎える秋に食べるのがまたいいですよね。

こちらの店は、中国の遼寧省大連にあるチェーン店の日本一号店です。ブナシメジやエリンギなど馴染みのあるきのこから朱鷺色平茸や山伏茸といった珍しいきのこがずらり。最大15種類のきのこの盛り合わせを用意したきのこ鍋が名物となっていて、さらにスープの出汁には、28種類の乾燥きのこを使用しているというから驚きです。

ランチでいただいたのが「ベジタリアン食 きのこ6種盛り野菜たくさん盛り合わせセット」（1680円）です。椎茸、エノキ茸、舞茸、平茸、花ビラ茸、アワビ茸に豆腐や白菜などが盛られていて充分楽しめる量ですよ。

具材を入れる前に、まず楽しむのがスープ。これがまたすごいスープでした。椎茸をはじめとするきのこが凝縮されていて、うま味成分のグアニル酸があふれ出るような感じで感動すら覚えます。このスープを飲むだけでも来店する価値ありです！

具材を入れて、さらに鍋を楽しみましょう。6種類のきのこそれぞれに食感の違いがあって心地よく食べることができますよ。

きのこといえば、腸内環境の改善にぴったりな食物繊維をはじめ、ビタミンB群、ミネラルなどが豊富で、低カロリーなのも魅力的な食材です。椎茸であれば、ビタミンB群が細胞の再生を促してくれ、効率よく代謝をアップしてくれます。
また、えのき茸は、亜鉛やミネラルが豊富。ファイトケミカルの一種β–グルカンも豊富で免疫力アップに効果があるといわれています。舞茸も亜鉛が豊富なので、コラーゲンの生成や新陳代謝の活発な働きによって、肌や髪の毛も健康的になれますね。

きのこ鍋ならば加熱することでスープに流出した栄養素も、〆であるクロレラ麺を茹でて、スープごと全部いただけます。クロレラもタンパク質が豊富で、ビタミン、ミネラル、葉緑素など様々な栄養素がある健康食品として多用されている食材ですね。

機会があれば15種類のきのこの盛り合わせにもチャレンジしてみたいです。

【何鮮菇（ホーシェング）】
東京都台東区上野4-4-5 上野C-Roadビル３階
03‐6806‐0583​
Lunch：11：30〜15：00　Dinner：17：30〜23：00
無休
https://hexiangu181129.wixsite.com/website

アメ横で味覚の秋をみつけよう！

御徒町駅から上野駅にかけては、JRの線路と並行に小さな商店街がいくつかあります。その中でも一番有名なのがアメ横（アメ横商店街連合会）ではないでしょうか。鮮魚や果物といった商店や洋服や化粧品の店などが400店舗もあるそうです。

夏から秋へと食欲の秋をフルーツで楽しんでみようと、目に留まったのがシャインマスカットです。アメ横は果物店が多いのですが、どの店頭をみても一番目立つところにありました。夏のハウス栽培から、この時期は露地栽培が増えるそうです。種がなく、皮ごと食べられ、糖度も高いことから、近年大人気となっていますね。

ブドウといえば、抗酸化作用をもつポリフェノールが豊富ですが、シャインマスカットも同様です。私は初めて知りましたが、緑系のブドウは赤系のブドウと比べて、ポリフェノールの中ではレスベラトロールという成分が多いとのことです。ドラッグストアなどでもレスベラトロールの栄養サプリが発売されていて、「若々しさや健康を維持したい方」に向いているようです。

様々なポリフェノールを摂取するのに、赤系や緑系と違う種類のブドウを組み合わせて食べてみてもよいかもしれませんね。

若返りにも！秋に嬉しいサツマイモ

アメ横を抜けて、上野駅を眺めながら上野公園（上野恩賜公園）へ向かいましょう。まずは、上野公園直結の「上野の森さくらテラス」にある「Ms.YAKIIMO（ミズ ヤキイモ）」へ。こちらの店は茨城・行方市産のお芋を使った焼き芋屋さんなのです。

こちらは、「紅はるか」（Ｍサイズ428円／量り売り）。私は蜜がたっぷりなサツマイモよりも、粉質でしっとりした紅はるかのようなものが好みです。しっとりながらもさっくりと食感の良い焼き芋になっていました。

この日は残暑厳しく、アイスクリームも食べてしまいました。こちらは、「紅優甘（べにゆうか）」と「ふくむらさき」のミックスソフトクリーム（399円）です。甘さの中にサツマイモのコク深さがあって贅沢な一品でした。

食欲の秋は、色々とおいしいものが食べたくなるので、腸内環境を整えておきたいものですね。きのこ同様にサツマイモの食物繊維が豊富に含まれていて、毒素を吸収、排出してくれます。「若返りのビタミン」といわれるビタミンＥやビタミンＣが多いのも嬉しいところです。

店舗では、他にも干し芋やクッキーなど、自宅で楽しめるサツマイモも用意されています。上野公園で食べても楽しいですね。

【Ms.YAKIIMO（ミズ ヤキイモ）】
東京都台東区上野公園1-54 上野の森さくらテラス1階
03-3834-9221
11：00～21：00
無休（施設に準ずる）
https://www.instagram.com/ms.yakiimo/

脳の活性！上野公園で美術館巡り

春にはお花見の名所となっている上野公園も、今は緑の木々が映えて散策にぴったりの場所です。園内には、美術館や博物館、動物園など9つの文化施設があります。動物と触れ合い、芸術を身近に感じられる場所は心が癒されますね。

この秋の目玉とされるのが、国立西洋美術館で10月5日（土）から開催される企画展「モネ 睡蓮のとき」です。印象派を代表する画家のひとりとして親しまれるクロード・モネの晩年の制作作品に焦点をおいた50点と日本で所蔵されている数点が展示されるとのことです。

美術館の独特の雰囲気や匂い、目で見る色彩、作品から感じる感性、すべてが脳の活性化につながり、心のアンチエイジングにもなりますね。

【国立西洋美術館】
https://www.nmwa.go.jp/jp/
※企画展詳細は国立西洋美術館サイトをご覧ください。

秋は興味のアンテナがたくさん！様々な視点からアンチエイジングの秋を楽しんでくださいね。

伊能 すみ子
INOU SUMIKO

食の専門家であるフードアナリスト１級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』～アジアンフードディレクター伊能 すみ子～更新中

●著書『マカオ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。』(amazonのサイト)