アンチエイジングニュース

水素水および水素風呂の賢い選び方

(その2)水素の効能効果に関する医学的根拠

水素 (H2) + ヒドロキシラジカル (・OH) ⇒ HO・

HO・ + ・OH ⇒ H4O2 ⇒ 2H2O

水素分子は体内で2つのヒドロキシラジカルと反応して 2分子の水をつくる
(すなわち、最終産物は水なので安全!)

 

1)水素(H2)に関する主な学術研究報告の抜粋

●日本が世界に先駆けて発見:水素の医療への応用可能性を示唆

Nature Medicine, Epub 2007 May 7(日本医科大学、東京健康長寿医療センター研究所)

太田茂男教授・大澤郁朗先生らのグループは、世界で初めて水素分子は活性酸素種の中で最も反応性の高いヒドロキシラジカルを選択的に還元し、細胞を酸化ストレスから防御すること、さらに、ラットに水素ガスを吸引させることで脳の虚血再還流障害を抑制し、脳の損傷を低減できることを示し、将来、疾病予防や治療に応用可能であることを提唱。この研究成果はNHKや各紙にて報道され、世界的に注目を集めました。

 

この発表後、水素(H2)を用いた抗酸化予防・治療法の研究が急速に開始され、これらの基礎医学研究を基盤として、慶応大学、名古屋大学、順天堂大学、九州大学、岡山大学、ピッツバーグ大学、NASAやその他の医療機関・研究機関においても基礎・臨床試験が行われ、現在も精力的に継続されています。

 

●水素水飲用により腎移植後の慢性移植腎症を予防(ラット)

Kidney International (2010) 77, 101-109ピッツバーグ大学

腎移植後に生じる慢性移植腎症の主原因はROS(活性酸素種)による組織障害と考えられていることより、ピッツバーグ大学の中尾篤典先生(現在 岡山大学大学院 救急医学講座 教授)らのチームは、水素水飲用が慢性移植腎症の症状改善に有効では、との仮説を立てて実験を行いました。

 

通常の水を与えた群では徐々に腎機能の低下(クレアチニンクリアランスの低下とタンパク尿)がみられたものの、水素水を与えた群では、慢性移植腎症の進行は緩やかで、移植腎機能は良好に保たれ、生存率が有意に改善。水素水はROSの減少と炎症性物質および炎症につながるシグナル伝達経路の活性化を抑制して炎症反応を低減し、酸化ストレスによる組織障害を軽減することが認められたと報告。また、水素水の経口投与により、血液中、および腎臓の水素濃度が増加したことが報告されています。

 

なお、水素水の効果を示した腎臓の病理写真がこの号のkidney International の表紙を飾り(すごいことです!)、また、本誌の編集者が “この号に掲載された注目すべき論文として、水素 ― 新しい治療的医療ガス』のタイトルでコメントを発表、『今後もさらに研究を広げていき、水素ガスが腎臓病や腎不全の治療に応用される日が来ることを願ってやまない』、と絶大なる期待を述べているのも注目すべきことです。

 

パーキンソン病の症状を有意に改善:二重盲検試験で有意差

Mov Disord. 2013 Jun;28(6):836-9(順天堂大学脳神経内科)

順天堂大学脳神経内科チームでは、パーキンソン病の患者さんにおいて水素水飲用(1日1L x 48週間)による症状改善を評価する二重盲検試験を実施し、有意な症状改善効果が認められたとして、2013年に成果を発表。これは二重盲検試験(DB)で水素水の有意な効果が示された世界で初めての論文です。現在は第二弾として、水素水によるパーキンソン病の症状改善評価を目標として、順天堂大学関連の16施設で多施設共同臨床試験が進行中です。

 

心停止後症候群において水素ガス吸入が脳障害を改善

Circulation. Epub 2014 Nov. 3慶応義塾大学救急科&循環器内科)

慶應義塾大学では救急科と循環器内科チームが、『心停止後症候群に対して水素ガス(H2)吸入が脳障害を改善する』ことを発表。この結果をもとに著者らは次のように述べています。

 

『水素の効果を心肺停止蘇生後の患者さんの社会復帰率を改善する新たな治療法として期待しています。また、水素ガス吸入は、現在唯一、同病態に対し有効と考えられている低体温療法と併用可能であり、治療効果の向上および治療の選択肢が拡がる可能性が考えられます』

 

ラットを用いた実験後、ヒトでの試験が試みられ、その成果をもとに、現在、院外で発症した心肺停止症例に対する水素ガスの有効性と安全性を評価する多施設共同試験を企画中とされています。

 

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する水素水の効果(マウス)

Int J Mol Sci. 2013 Oct 15;14(10):20704-28.(岡山大学)

NASHの成因には肝臓にさまざまな要因が作用することで発症するという multiple parallel hits hypothesisという仮説がありますが、その主因に酸化ストレスによる肝ミトコンドリア異常の関与が考えられているため、岡山大学消化器・肝臓内科学チームは、水素が肝毒性のある活性酸素を消去することにより、NASHの病態を改善しうるかどうか、病態モデルマウスを用いて検討。その結果、水素水により、肝内の脂肪酸の取り込みが抑制され、酸化ストレスの抑制をもたらすことによって、NASHの進行が軽減したことを報告しています。

 

高眼圧緑内障モデルで水素点眼薬により網膜損傷抑制(ラット)

Invest Ophthalmol Vis Sci 2010; 51: 487-492.(日本医科大、東京都健康長寿医療センター研究所)

高眼圧によって虚血状態にしたラット眼球に、水素を高濃度に含む点眼薬を用いて検討。点眼により水素は速やかに眼球内へ拡散し、硝子体の水素濃度が速やかに上昇。その結果、虚血再灌流による網膜の退縮を軽減し、角膜アルカリ外傷の抗酸化治療に効果が認められたことを報告しています(水素点眼薬は生理食塩水を水素で飽和したもので、虚血中60分間と再灌流後30 分間、4 mL/min の速度で滴下)。

 

以上のほかにも重要論文が多数あり、対象疾患は広範囲に及んでいます。以下に一部を抜粋してタイトルのみリストします(すべて英語論文)。なお、臨床試験で用いられている水素は、過飽和あるいはほぼ飽和に近い濃度の高濃度水素水、もしくは、水素ガスの吸入です。

 

高濃度水素水は慢性関節リウマチの症状を改善(40症例、6ヵ月以上継続)

Curr Pharm Des 2013; 19(35):6375-81(原土井病院)

 

腎透析液の水素水化により、血中アルブミンの酸化が抑制

Hemodial. Int. 2014 Apr;18(2):456-66(福島医大)

 

水素水によるメタボのコレステロール代謝改善効果

J Clin Biochem Nutr. 2010 Mar;46(2):140-9.(ピッツバーク大医療センター)

 

水素水による2型糖尿病脂質代謝、糖代謝/耐糖能が改善

Nutr Res. 2008 Mar;28(3):137-43.(梶山内科クリニック、京都府立医大他)

 

動脈硬化モデルマウスで長期(2~6ヵ月)の水素水飲水は動脈硬化を抑制

Biochem Biophys Res Commun. 2008 Dec 26;377(4):1195-8.(日本医科大)

 

水素豊富生理食塩水はβアミロイド誘発性アルツハイマー病の記憶機能を改善(ラット)

Brain Res. 2010 Apr 30;1328:152-61.中国医科大学、米国Loma Linda大他)

 

水素水は抗がん剤(シスプラチン)の効果に影響を与えることなく副作用を軽減(マウス)

Cancer Chemother Pharmacol. 2009 Sep;64(4):753-61.(日本医科大)

 

水素水によるアトピー性皮膚炎の改善(マウス)

Biol.Pharm.Bull. 37(9)1480-1485(2014)(延世大学、韓国)

 

水素水飲用はトップアスリートの急激な運動に伴う筋疲労に有効

Med Gas Res. 2012 Jul 12;2:12(筑波大学&兵庫医大)

 

水素水は胃においてグレリン放出を介してドパミン神経保護作用を発揮

Sci Rep. 2013 Nov 20;3:3273. (九州大学、千葉大学)

 

● 水素医学の最近の進歩:原著論文321報(2007年~2015年6月)のレビュー
Med Gas Res (2015) 5: 12.(中部大学生命健康科学部、名古屋大)

 

以上はほんの一部ですが、これからも水素を用いた臨床成績や作用機序に関する論文がますます発表されていくことと思います。

 

水素(H2)に関する研究は、医療関係者であれば誰もが、もはや無視できない状態に発展してきていると言えるのではないでしょうか? 将来、『標準治療と水素の併用療法』(下記注)が当然のように行われる日が来るのかもしれません。

(注)「即効性や効果」という観点よりも、水素により「発症予防や進行予防・進行遅延を、副作用なしに行う」という点で、従来の治療法との「併用」が期待できるのかもしれません。

 

2)現時点で学術的に認められている水素の作用

抗酸化作用

抗アレルギー作用

炎症抑制作用

 

<報告されている作用>

アポトーシス抑制作用

脂質代謝改善作用

血行促進作用

遺伝子発現を制御

神経保護作用

未知の作用(?)

 

3)水素の特徴:他の抗酸化物質との比較ビタミンC, ビタミンE, コエンザイムQ10など)

(1) 水素は活性酸素のうち、ヒドロキシラジカル(超悪玉)を選択的に消去

⇒ この選択性は水素だけの特徴

 

(2)BBB(血液脳関門)を通過

宇宙で一番小さな分子なので、BBBを通過脳にも行きわたる。

 他の多くの抗酸化物質 (VC, VE, CoQ10など)は、分子が大きいためBBBを通過できず、脳へは届かない。

 

(3)身体のすみずみまで行きわたる

水素は脂溶性・水溶性に無関係に細胞膜をすり抜け、核の中、ミトコンドリアの中まで入っていける

⇒ 宇宙で一番小さい分子である水素だけの特徴

 

(4)血流が無くてもすごいスピードで拡散 

血流が途絶えている梗塞部位にも拡散で到達できることが実験的に確認されている。

 

(5)反応後は水になり、酸化物質として残らない

抗酸化作用発揮後、酸化還元サイクルを形成する他の抗酸化物質(VCなど)は相手を還元後、自身は酸化促進剤になってフリーラジカルを形成する可能性があるが、水素は反応後に水になるだけで害がない。

 

(6)蓄積せず、副作用なし

体内に取り込まれて作用を発揮後、余った水素は約1時間後には呼気から体外へ排出され、体内に蓄積しない(したがって、慢性的な症状軽減の目的にはある程度長期に、毎日の水素取込が必要と考えられます)。

 

4)作用機序の解明に向けた研究が進行中

2016年1月、太田茂男教授チーム(日本医科大学)は『分子状水素はフリーラジカル連鎖反応に介入して酸化脂質メディエーターを改変することで遺伝子発現を制御する』と題する論文を発表しました(原著論文の英語タイトルは下記)。

 

生体膜は脂質(主としてリン脂質)や蛋白質などで構成されていますが、以前より、この脂質中に存在する不飽和脂肪酸が活性酸素の攻撃を受けると、連鎖的な脂質過酸化反応が惹起され、過酸化脂質を生成すること、そして、この連鎖反応を開始させるもののひとつにヒドロキシラジカルが推定されること、したがって、活性酸素を消去することにより、この脂質過酸化反応の開始を予防できる可能性があると考えられていました。

 

いったんこの反応が開始されると、脂質過酸化反応は連鎖的に進行し、遺伝子発現制御を行うさまざまなメディエーターを生じることが明らかにされていましたが、この論文では、『水素がこれらの遺伝子発現を制御しうることが示され、しかも、水素は不活性であるが故に、酸化ストレスがないときは効果を発揮せず、フリーラジカル連鎖反応が亢進しているときのみ作用することが示唆された』と報告されています。

 

著者は『今回の発見は、新しい概念を提出するものであり、分子状水素の機能を発揮する詳細なメカニズムの研究を推進する手がかりになることが期待されます』と述べています。高度に専門的な内容ですが、ご興味のある方は下記をご参照ください(full paper)。

 

原論文
Molecular hydrogen regulates gene expression by modifying the free radical chain reaction-dependent generation of oxidized phospholipid mediators. Scientific Reports (2016) 6, 18971.

Katsuya Iuchi, Akemi Imoto, Naomi Kamimura, Kiyomi Nishimaki, Harumi Ichimiya, Takashi Yokota, & Shigeo Ohta.  

(⇒ www.nature.com/articles/srep18971)

 

 

現在水素に対して批判的な考えをしている方々(多くは医療関係者?)は、“作用機序が解明されていない” ことで「信用できない」としているようです。ですが、反応性が高く、体内で瞬時に作用して消えてしまう気体(ガス)の作用機序の解明は至難の業です。

 

たとえば、NO(一酸化窒素、体内で合成され、生理機能を発揮している気体)が体内でシグナル伝達に関与していることを発見し、その作用機序の解明に貢献した研究者3名(ムラド、ファーチゴット、イグナロー各教授)は、1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞したのです! このような、体内で多彩な生理作用を発揮する “医療ガス(medical gas)” の作用機序の解明がいかに難しいか、想像できると思います。

(余談ですが、弊社はムラド教授がノーベル賞受賞講演のために来日された際、許可を得て講演内容を取材し、弊社の日英二か国語誌GORに掲載しました)。

 

《(その1)はじめに:玉石混交の水素商品市場 (その3)活性酸素って何? どんなときに発生するの?》

 

◎関連リンク

第三者機関にて水素の体内取込量を実測済みの水素風呂『リフレッシュ水素』

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記事作成: 寺尾 和子 (薬剤師/メディカル パースペクティブス株式会社)

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