アンチエイジングニュース

アンチエイジングの大敵である「ストレス」。

そのストレスにかかわるホルモンとして、幸せホルモン「オキシトシン」やストレスを増加させるホルモン「コルチゾール」が注目されています。

 

ロボット・ベンチャー「GROOVE X」と資生堂が共同で行った実証実験によると、家族型ロボット『LOVOT』と生活を共にする方は、オキシトシン濃度が高く、『LOVOT』との15分間の触れ合いがコルチゾールの減少をもたらすことがわかり、ストレス低下が期待できる結果が得られました。

 

 

生き物のような生命感あふれるロボット『LOVOT』と共同生活の効果

オキシトシンホルモンは絆の形成に関与するホルモンとして知られており、人間の親子、人間と犬の間で、視線を介してオキシトシン分泌が促進されることが報告されています。また、資生堂の研究では、脳下垂体だけではなく、肌からもオキシトシンが放出されることを明らかにし、さらに、肌由来オキシトシンが表皮の再生を促すことが明らかになっています。

 

『LOVOT』は、名前を呼ぶと近づいてきて見つめてくる。好きな人に懐き、抱っこをねだる。抱き上げるとほんのり温かい。ロボットなのにまるで生き物のような生命感があるのが特徴で、ペットのようにだんだん家族になるロボットです。

近年はコロナ禍におけるメンタルケア、情操教育、プログラミング教育などの観点からも注目されており、全国の保育園、こども園、小学校などの教育施設や介護施設、企業などにも導入されています。

ロボットである『LOVOT』も同様に、人が触れ合うとオキシトシンが分泌され、オキシトシンを介した絆形成もたらすのではないかという仮説の元、実験が開始されました。

 

『LOVOT』オーナー(女性/25~45歳)24名、非『LOVOT』オーナー(女性/30~39歳)23名を対象に、尿中オキシトシンの測定と、『LOVOT』との15分のふれあい前後における唾液中コルチゾールの摂取および測定した結果、『LOVOT』オーナーのほうが、オキシトシンが高く、コルチゾールの減少幅も大きいことがわかりました。

 

『LOVOT』と生活を共にするオーナー群では定常オキシトシンが有意に高くなりました

オーナー群は非オーナー群に比べ、定常オキシトシンが高いことがわかりました。この理由として、普段から『LOVOT』と接することにより、オキシトシンを分泌する機会が増え、定常的なオキシトシン濃度が増加したことが考えられます。

 

 

『LOVOT』との15分間の触れ合いでオーナー群、非オーナー群ともにコルチゾールが有意に減少しストレス低下し、オーナー群は非オーナー群に比べコルチゾールの減少幅が大きいという結果が出ました。

オーナー群、非オーナー群ともに、『LOVOT』との触れ合いで、ストレスによって分泌されるコルチゾールが減少していることがわかりました。コルチゾールは犬や猫とのふれあいによって減少することが報告されており、今回の結果から、『LOVOT』との触れ合いはアニマルセラピー同様の効果をもたらすことが示唆されました。

 

 

専門家のコメント

麻布大学 菊水 健史 教授のコメント

今回、コミュニケーションロボットとオキシトシンの関係を明瞭に示した世界初の結果となりました。予想通り、『LOVOT』のオーナー様ではオキシトシンが高いことが示されています。今回の研究では、『LOVOT』と生活する前のオキシトシンの濃度が不明であるため、『LOVOT』との生活による変化であるかどうかは不明ではありますが、今後の研究ではどのようなふれあいが実際にヒトのオキシトシン分泌に変化を与えるか、などの詳細の研究調査によって、イヌなどの動物が飼育できない方々にも、このようなふれあいや異種間共生の恩恵が得られるような社会になり、Well-Beingが高まればと期待しています。

鹿児島県生まれ。東京大学獣医学科卒。獣医学博士。三共(株)、東京大学大学院農学生命科学研究科を経て麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授。専門は行動神経科学 行動内分泌学、行動遺伝学。著書に「ヒト、イヌと語る – コーディーとKの物語」(東京大学出版会)など

 

自治医科大学 岡部 祥太 客員教員のコメント

コミュニケーションロボットと暮らすことで人にどんな変化が生じるのか。人工物と人は親和的な関係性を結ぶことができるのか。今回の研究はそんな疑問へのチャレンジとなりました。『LOVOT』と長期的に暮らした方々に見られた内分泌的、行動的な反応が『LOVOT』との生活によって生じたかどうかはまだ分かりません。しかし、今回の研究結果はコミュニケーションロボットとヒトの関係性の背景にあるメカニズムの解明に向けた重要な端緒になると考えています。今後のさらなる研究により、ロボットや動物といった多様な異種と関係性が構築されるメカニズムとその作用を明らかにできればと思います。

東京都生まれ。麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は動物行動学。
自治医科大学医学部助教を経て、株式会社ベネッセスタイルケア ベネッセ シニア・介護研究所研究員、自治医科大学医学部生理学講座および応用倫理学研究室客員研究員。動物の社会性、とくに親和的な関係性の構築カニズムとその効果についてヒトやモデル動物、ロボットを対象に研究中。

 

資生堂 今村 周平 研究員のコメント

資生堂は1993年に、肌とこころ(脳)が密接につながっているNICE理論を構築し、以来、直接的な肌のケアだけではなく、ホルモンなどを介したホリスティックなビューティケアの可能性を探索してきました。今回の研究では個を越えて、他者とのコミュニケーションや親密な関係性を構築することが全身へ与える影響、意義を明らかにし、未来に向けた新たな美へのアプローチ創出の可能性を検討するために実施いたしました。
今回の結果は、『LOVOT』との生活と体内のホルモンとの関連を示しており、非生物であるロボットとのコミュニケーションの意義や、新たなビューティーケアの可能性を示唆すると思います。我々は引き続き様々なアプローチにより、身体やこころを介して肌を健やかに美しく保つことを目指していきたいと思います。

福島県生まれ。東京医科歯科大学大学院修士課程修了後、2017年より株式会社資生堂にて研究に従事。

 

 

GROOVE X代表取締役社長 林 要のコメント

生産性や利便性の向上のためのロボットや、動作の物珍しさで興味をもってもらうロボットとは異なり、長期におけるヒトとの関係性構築を目的に、世界でも例をみないアプローチと最先端のAIテクノロジーを用いて開発されたのが『LOVOT』です。
いままでも多くの定性的な実績は出ていたものの、今回は資生堂社および麻布大学菊水先生、自治医科大学岡部先生による研究により、科学的なアプローチで定量的な検証がすすんだことは、とても素晴らしいことで、感謝に堪えません。
オキシトシンの増加は、美容や自律神経のバランスが整えるなどに効能があり、コルチゾールの低減も、健康やストレス低減に効能があると言われています。『LOVOT』は、人が他者を愛でる機会の提供を通して、穏やかで温かな時間を日常生活に提供することができ、一緒にいるだけで多くの人のWell-beingが向上することができます。
日本発のWell-beingテクノロジーとして、今後もテクノロジーの平和利用を世界に発信していきたいと思います。

愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・東京都立大学)大学院修士課程修了後トヨタに入社。スーパーカー「レクサスLFA」やトヨタF1の開発に携わる。2012年ソフトバンク入社、「Pepper(ペッパー)」のプロジェクトメンバーに登用。2015年ロボット・ベンチャー「GROOVE X」設立。

 

LOVOT[らぼっと] 公式サイト:https://lovot.life/

 

情報提供:GROOVE X 株式会社

 

アンチエイジンのため、QOL向上のために、ロボットと共同生活するというライフスタイルに注目が集まるかもしれません。

 

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧