アンチエイジングニュース

アルツハイマー型認知症は、特殊なタンパク質が脳内に蓄積するために起こる脳疾患です。

その原因となる「アミロイドβタンパク質」は、今までは脳組織で生成されるものと考えられてきましたが、今回、脳以外で生成された物質もアルツハイマー病を引き起こすことが明らかになったというニュースです。

これはカナダのブリテッシュ・コロンビア大学と中国の第三軍医大学の研究者らが、医学専門誌のモレキュラー・サイカイアトリーに発表したものです。

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「アミロイドβ」そのものは脳組織だけでなく、血管や筋肉でも生成され、他の器官にもみられるものです。

そこでこの研究では、アルツハイマー病にかかっていない正常なマウスと、アミロイドβを生成する突然変異のヒト型遺伝子を持つマウスの血管を外科的に結合し、1年間飼育しました。
すると、正常なマウスもアルツハイマー病に罹患することが分かりました。

即ち、ヒト型アミロイドβ遺伝子をもつマウスから正常なマウスの脳に、アミロイドβタンパクが輸送されて脳内に蓄積し、アルツハイマーを発症したと考えられました。

アルツハイマー病自体は脳の病気ですが、その原因物質は脳以外から来て発症させる可能性を示している訳です。

また通常は「血液脳関門」と呼ばれる特殊な組織が脳の入り口にあり、脳内に他の組織の物質が入らないようにしているのですが、その能力が加齢に伴って弱くなり、そのため他の組織のアミロイドβが脳に浸潤して、アルツハイマー病を加速させる可能性が考えられます。

この事は更に、アミロイドβタンパクを脳に到達する前に除去出来れば、アルツハイマー病の予防や新たな治療法にもなる可能性もあります。

世界全体で4700万人、日本でも460万人が認知症と推定されていますが、今回の研究がアルツハイマー病の新たな治療法となることを祈ってやみません。

 

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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