やっぱり、コーヒーは長寿に有効な事を再確認
今まで何度もコーヒーを飲む人は長生きできるというお話を聞いてきましたが、時にはそれに反対の意見もあり、本当の事を知りたいと思っていました。
ところが今回、やっぱりコーヒーを飲むと病気にかかりにくくなるという論文が、米国で報告されました。
それ以外にも、コーヒーは身体によいとする研究が幾つも発表されていましたので、今日はその特集です。
1)1日2~3杯のコーヒーの摂取で、死亡率が18%も減少
米国内科学会誌(AIM)に報告された二つの新しい論文からご紹介しましょう。
先ず一つ目は、ハワイ大学がんセンターのパク・ソンイ博士らによる論文です。
パク博士らは、日系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ハワイ先住民、白人(計18万5855人)を対象にした多民族コホート研究を行い、コーヒーの摂取と全死因死亡率や特定の疾患による死亡率の関連性を調べました(なおこの研究の追跡期間は16.2年です)。
研究期間中、5万8397人の参加者が死亡し、その主な死因は心血管疾患とがんでした。 そこで喫煙、既存の病気、身体運動およびアルコールなどの要因を除外して解析したところ、1日1杯のコーヒーを飲んだ人は飲まなかった人に比べて死亡率が12%低くいことが分かりました。また、1日に2~3杯飲んだ人では死亡率が18%も減少ていたそうです。 そしてコーヒーの摂取が増えるにつれ、心臓病、がん、呼吸器疾患、脳卒中、糖尿病、および腎臓病などによる死亡率が低下していたそうです。
コーヒーとなるとすぐにカフェインが有効なのではないかと考えるのですが、カフェイン入りとカフェイン抜きのどちらも死亡率が低かったことから、死亡率の低下とカフェインの関連性はないと示唆されています。そして死亡率は、日系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人と白人で有意に低下していたそうです。
コーヒーには酸化防止作用や抗炎症作用のあるフェノール化合物など多くの物質が含まれ、それらががんや慢性疾患などの予防に重要な役割を果たす可能性が考えられています。
2)ヨーロッパの研究
二つ目の報告は、インペリアル・カレッジ・ロンドンのマーク・ガンター博士らによる調査で、欧州のがんと栄養に関するコホート研究に参加した10国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国)に住む52万1330人が対象の研究です。これらの参加者のコーヒーの摂取量などの食生活やライフスタイルや臨床検査の情報を調べました。
平均16.4年間の追跡期間中に、4万1693人の参加者が死亡しましたが、主な死因は、がんおよび循環器疾患でした。そして、1日にコーヒーを3杯以上飲んだ男性は、コーヒーを飲まない男性と比較して、死亡のリスクが12%低下していることが分かりました。女性では死亡のリスクが7%低下していたそうです。そして、コーヒーを多く飲む参加者は消化器疾患や循環器疾患で死亡するリスクが低いこと、カフェインに関係なく死亡率は低下していたと述べられています。
3)日本での研究
国立がん研究センターなどが進める「多目的コホート研究」の結果として、米臨床栄養学会誌(AJCN)に日本人男女9万914人の調査内容が報告されています。
それによりますと、コーヒーを1日に3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%も低いことが示されています。特に、コーヒー摂取により心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクの有意な低下があったそうです。
このように、さまざまな民族や人種で、コーヒーには長生きの効果がある可能性が示されました。
皆様是非、コーヒーと共に、健康な生活をなさってくださいませ。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします