平日の睡眠負債は週末の寝だめで解消されるのか?
「睡眠」はアンチエイジングの重要なテーマのひとつです。
最近では「睡眠負債」という言葉もよく耳にするようになりました。
「睡眠負債」とは、慢性的に睡眠不足が借金のように積み上がる状態をいいます。
なんだかちょっと怖い響きですね。
寝だめは有効か?
これまでも、睡眠不足は集中力の低下など、精神面への悪影響を指摘されたり、肥満と糖尿病の危険因子として認識されています。
平日の「睡眠負債」を休日の寝だめで解消することは可能なのでしょうか?
米コロラド大学教授のKenneth Wright氏らが行った研究により、週末の寝だめでは糖代謝に与える悪影響は解消できず、かえって悪い結果になる可能性があることが分かりました。
この研究は、36人の成人(平均年齢25.5歳)を3つのグループに分け9日間観察を行いました。
(A)毎晩9時間までの睡眠 (B)睡眠時間を5時間まで (C)睡眠時間を5時間に制限(5日間)→好きなだけ睡眠(週末2日間)→再び5時間睡眠(2日間)
その結果(B)(C)の睡眠不足のグループは、インスリンの感受性が低下し(血糖値の調節が十分できていない状態)、夕食後のエネルギー摂取量と体重が増えていました。
(C)が週末に睡眠を増やした間は、夕食後のエネルギー摂取量は減少しましたが、再び5時間睡眠に戻るとエネルギー摂取量は増え、インスリン感受性が低下した状態が続き、特に肝臓と筋肉のインスリン感受性が低下した状態になっていました。
(B)の週末に寝だめをしなかったグループではこうした変化はありませんでした。
つまり、週末の寝だめは逆効果となったと言えます。
参考文献:
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30098-3
睡眠負債の解消は、規則正しい睡眠習慣で
週末の寝だめで取り返せると思って夜更かしをせず、習慣的に十分な睡眠をとることが重要です。
- 日中に体を動かす。
- 食事は就寝前2~3時間前に済ませる。
- 就寝時はなるべく部屋を暗くする。 ぬるめのお風呂に入浴して寝付きを良く。
- 寝る前にスマートフォンやテレビ、パソコンを見るのはNG。
- 昼寝は15~20分程度まで。
- 寝酒は要注意。
※基本的な対策を学ぶ「質のよい睡眠のために」で更に詳しく
以上のようなことに気をつけて睡眠の質を上げ、「睡眠負債」に陥らないようにしましょう。
(文・アンチエイジングネットワーク編集部)
更新:2020.01.06
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします