カレー粉は、アルツハイマーを予防する
今年度のノーベル医学生理学賞は、大隅良典先生が受賞されることになりました。
このところ日本人のノーベル賞の授賞者が続いており、うれしい限りです。
さて、大隅先生の研究は細胞のオートファージに関するものですが、この貪食作用の応用として、アルツハイマー痴呆の原因である脳のプラーク斑点を取り除くことが考えられ、その作用をカレー粉が増強するというお話です。
これは、米国科学アカデミー会誌(Proceedings of the National Academy of Sciences)にLos AngelesのDavid Geffen School of Medicineらの研究者が報告したものです。
ちなみに同様の報告は日本の研究者もおこなっていますので、2つを同時にお知らせします。
実は今までも、アルツハイマーになりやすさと、カレーを食べることに、なんらかの関係があるのではないかといわれていました。
実際、米国では人口の約25%の人がアルツハイマー痴呆になるのですが、インドではその頻度は1%と非常に低いことが知られています。
そしてこれは、カレー粉をよく食べるからではないかといわれています。
そこで、カレー粉に含まれるターメリックに目をつけて、脳のプラーク斑点の基であるアミロイドベータたんぱく質を分解する成分を探したところ、クルクミンの一種であるビスデメトオキシクルクミン(Bisdemethoxycurcumin)が有効なことがわかりました。
アミロイドβ蛋白を分解する、免疫細胞のマクロファージの作用を促進させるのが、その作用機構ということです。
この米国の研究チームは、このアミロイドたんぱく質の分解プロセスに、免疫システムのキーとなるMGAT III 及びToll-like レセプターと呼ばれる遺伝子も関係していることを見出しています。
そしてこれらの発見は、アルツハイマー痴呆における免疫システムの役割に新しい知見を与えるだけでなく、今後の治療に向けての重要な発見であるとしています。
さて、日本の科学者も同様にカレー粉ウコンに含まれるクルクミンが、アルツハイマー病の原因となる物質の生成を防ぐ効果があることが報告されています。
これは、金沢大大学院の山田正仁教授らが述べているもので、アミロイドベータタンパク質にクルクミンを加えると、神経細胞が守られることを確認していました。
また、赤ワインに含まれるポリフェノールや、ハーブのローズマリーでも同様の効果が得られるそうです。
カレーは私の大好物の一つです。カレーライス、カレーうどん、カレーパン、何でもOKですが、私はアルツハイマーにならない???
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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