健康的に老化するには母親のDNAが重要
健康的なエイジングを行うには、身体にある細胞小器官であるミトコンドリアのDNAが重要なことが分かりました。
これは、スペイン国立心臓血管研究センター(CNIC)の科学者らが、ネイチャー誌に報告したものです。
・論文タイトル:Mitochondrial and nuclear DNA matching shapes metabolism and healthy ageing.
・著者: Latorre-Pellicer A 他
・科学誌名: Nature. 2016 Jul 28;535(7613):561-5.
研究は、母親からのみ受け継がれるミトコンドリアDNA(mtDNA)以外はまったく同一の核DNAを持つように交配された、実験用マウス2グループを用いておこなわれました。
ちなみに、細胞核に存在する核DNAはそれぞれ父親と母親から子どもに受け継がれるのですが、ミトコンドリアDNAは母親からしか継承されないものです。
研究では、それぞれのグループの2歳の高齢マウス(マウスの寿命は2年くらい)から採取した標本を比較したところ、一方のグループがより健全なエイジングを行っており、毛並みが豊かで、身体も頑強で筋肉量も多く、より活動的であることが分かりました。
また、肝機能も優れていました。
すなわち、一方のグループのマウスが他方よりも健康的にエイジングを行い、寿命が長くなっているという訳です。
以上の結果から、老化のプロセスは、生まれた時にはすでに母親由来のミトコンドリアDNAによって決定されており、この結果は人間にも当てはまる可能性が高いと述べられています。
長寿で健康な母親を持つ人は、エイジングに関しては安心かもしれませんね。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします