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心停止への水素ガス吸入、臨床試験始まる

世界初の本格的な医療への応用

Medical Tribune 薬剤情報 | 2016.11.30
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1130505769/

世界でも初めてとなる、水素ガスの本格的な臨床的試験がわが国で始まる。院外心停止後に心拍が再開した症例を対象に、多施設共同ランダム化二重盲検試験を慶應義塾大学救急医学講師の鈴木昌氏らが早ければ年内にも開始する。水素ガスは心停止後の他にも急性心筋梗塞やパーキンソン病などさまざまな病態に有効であることが動物実験レベルで分かってきており、臨床応用が注目されている。「水素ガスの臨床応用の先駆けとなる試験であり、有効性が認められれば、他の疾患への臨床応用も加速することになるだろう」と鈴木氏は話している。

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<解説>

慶應義塾大学では心停止症候群に対し、すでに動物実験および臨床研究を重ね、水素ガスを用いた治療の安全性および有効性を確認していますが、今回、水素の医療分野への本格的応用を目指して、国内10施設以上との共同で3年間に360症例を目指すとのことです。

 

病院外で心肺停止して救急搬送される症例は、日本では年間約13万人とされ、従来、このような症例の生存率は低く、また、たとえ蘇生に成功しても、脳や心臓に重い後遺症が残り、社会復帰の可能性は非常に少ないとされています。

 

このような症例の生存率向上や、後遺症の著明な軽減と社会復帰率の向上に、水素ガス吸入療法が期待されています。このことはすなわち、医療効果に加えて、医療・リハビリ・介護にかかる費用や、本人および家族の介護量の負担軽減をもたらすことが期待されるのです。

 

担当医師らは将来、『高度機器が不要で医療機関に広く普及できる治療法』と考えているとのことで、『二重盲検試験』で行うことにその意気込みと自信のほどがうかがえます。まさに日本発の画期的な臨床試験であり、世界的に注目されること間違いなしでしょう!

 

なお、水素ガスは医薬品として認可されていないため、通常の医師主導型治験で行うと混合診療となり、すべての医療費が保険外負担となってしまいますが、本臨床試験は「先進医療B」の認可を受けて行われるとのことで、水素ガス吸入部分を研究費で賄い、それ以外が保険適用になるとのことです。

 

メディカル パースペクティブス/寺尾和子(薬剤師)>

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