歯の再生に成功
永久歯は一度無くなるともう生えてくることはありませんでしたが、
イヌを用いた実験で歯を再生することに成功したというニュースです。
毛髪や臓器の再生にも応用できると考えられ、大きな話題になっています。
これは、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の窪木教授らの研究グループが、英電子科学誌サイエンティフィック・リポーツに報告したものです。
【タイトル】 Practical whole-tooth restoration utilizing autologous bioengineered tooth germ transplantation in a postnatal canine model.
【著 者】Mitsuaki ONO他
【掲 載 誌】Scientific Reports D O I:10.1038/srep44522 (2017)
研究では、生後30日のイヌから永久歯の歯胚を取り出し、まず、さまざまな器官の基(種)となる上皮組織と間葉細胞に分けました。
次にこれらの細胞をもう一度合わせた後に2日間培養して、「再生歯胚」を作成しました。
そして、この再生歯胚を同じイヌの歯が抜けた部分に移植したところ、約6カ月後に歯が生えたそうです。
この歯はエナメル質や象牙質、歯根膜など天然の歯と同じ構造を持っており、歯の中には神経も作られていると考えられました。
実は、歯胚を用いた歯の再生は東京理科大のグループが2007年にマウスで成功していましたが、ヒトに応用するには歯が生え替わるイヌなど大型動物での成功が必要でした。
したがって今回の成果は、今後ヒトの歯の再生に大きな前進となります。
今後は、自分自身の親知らずの歯胚やiPS細胞を活用するなどの方法を模索し、近い将来の臨床応用を目指すそうです。
入れ歯ではなく、自分の歯で食べる事が出来れば、いつまでも食事をおいしく頂けますね。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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