アンチエイジングニュース

インターネットの普及で、健康に関するいろいろな情報を簡単に見ることが出来るようになりました。
ところがその内容を見ると、「デマ」の情報が多く、信頼のおける健康の情報よりも早く広まっていることが分かりました。

これは、ウィスコンシン医科大学のメガ・シャルマ医師らの研究グループが報告したものです。
論文タイトル: Zika virus pandemic-analysis of Facebook as a social media health information platform.
著者    : Sharma M et al.
医学誌名  : Am J Infect Control. 2016 Oct 21

研究では、「ジカ熱」に関する記事や動画を調べました。
ちなみに、ジカ熱は蚊や性行為によって広がるウイルス感染症で、妊娠中の女性が感染すると出生異常の原因といわれています。
シャルマ医師らは、このジカ熱に関する記事や動画がフェイスブックでどのようにアクセス・拡散されているかを調べました。
その結果、約200の記事・動画のうち81%は、CDC・アメリカ疾病管理予防センターなどによる適切な情報源をもとに、正確な情報を伝えていました。
一方、12%は誤解を生む情報を伝えていたそうです。

例えば、「ジカ熱は発展途上国の人口削減のために利用されている」とか、「大企業によるでっちあげ」があったそうです。
次に、「どのコンテンツが拡散されたか」を調べると、驚くべき実態が明らかになりました。
即ち、「誤解を生むコンテンツ」ほど拡散されており、正確な内容よりもはるかに多く広まっていたということです。

「10 reasons why Zika virus fear is a fraudulent medical hoax(ジカウイルスの恐怖が不正なでっちあげである10の理由)」という、ジカ熱は大企業によるでっちあげであると主張する動画では53万回以上も再生され、19万6千人が見ていました。
ところが、正確なWHO(世界保健機構)による情報のアクセス数は、わずか4万3千程度にすぎませんでした。

以上の結果から研究者らは、「多くの人はネット上でニュースを得るようになっており、フェイスブックはなかでも有力なツールとなっている。しかし、伝統的なメディアと異なり、ネット上の医療健康情報は規制されておらず、疑似科学的な陰謀論ほど人気があり、正確な情報よりも広まりやすい」と警告しています。

皆様、ネット情報を鵜呑みにしてはいけません。
学会等が認めた医学誌等に記載されている情報を信頼するようになさってください。

 

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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