肥満対策の切り札:ナノテクノロジーを用いて脂肪を溶かす
肥満は先進各国での大問題になってきています。
そういえば、10年前と比較すると、国内でも明らかに肥満の方が多くなっていますよね。
そこで今日は、肥満対策の切り札になるかも知れない新薬についての話題です。
米国の研究者らがマウスを使った実験で、脂肪を溶かすスキンパッチ(貼り薬)の開発に成功しました。
これは、米国化学会(American Chemical Society)発行の学術誌「ACS Nano」に、米コロンビア大学メディカルセンター(Columbia University Medical Center)のLi Qiang氏らが報告したものです。
・論文タイトル: Locally Induced Adipose Tissue Browning by Microneedle Patch for Obesity Treatment
・著者: Yuqi Zhang 他
・医学誌名: . ACS Nano, 2017; DOI: 10.1021/acsnano.7b04348
研究では、人間の髪の毛の400分の1ほどの細さに相当する直径約250ナノメートル(1ナノメートル=100万分の1ミリ)のナノ粒子に薬効成分を入れ、更にこれらのナノ粒子を皮膚に刺さる微細な針数十本が付いた指先大のスキンパッチに封入したそうです。
そしてこのパッチを肥満マウスの腹部に貼り、3日ごとに貼り換えて4週間実験を継続しました。
その結果、スキンパッチが貼られた部分のみの脂肪が20%減少することが分かりました。
このナノテクノロジーを利用したスキンパッチは、貼り付けた組織だけの代謝を促進させ、白色脂肪をエネルギーを燃焼する褐色脂肪へと変化させたと結論されています。
今後は、人間の肥満や糖尿病治療にも応用可能かどうか調べるそうですが、肥満対策の切り札になる可能性があるそうです。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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