日本人の腎臓機能は弱く、塩分とりすぎには厳重な注意を!
先日NHKスペシャルで、「腎臓があなたの寿命を決める」が放送され、大反響でした。
しかし日本腎臓学会の推計によると、国内の慢性腎臓病患者は約1300万人、30万人以上が人工透析を受けているそうです。
そこで今日は、特に日本人は欧米人より腎臓の機能が弱く、慢性腎臓病になりやすいというニュースです。
これは、東京慈恵会医科大の神崎剛助教らが米科学誌に報告したものです。
・論文タイトル: New insights on glomerular hyperfiltration: a Japanese autopsy study.
・著者: Kanzaki G 他
・医学誌名: JCI Insight. 2017 Oct 5;2(19). pii: 94334. doi: 10.1172/jci.insight.94334.
今まで、血液中の老廃物を濾過して尿を作る組織「ネフロン」の数は、腎臓1個あたり約100万個あるとされていました。
しかしこの研究チームは、人種間でネフロン数に差があるのではないかと考え、ネフロンの数を調べたところ、20万~200万個と人種などで非常に差があることがわかっていたそうです。
そこで今回さらに、日本国内の健康な人、及び高血圧や慢性腎臓病の人についてそれぞれ9人づつ(計27人)の腎臓のネフロン数を調べました。
その結果、健康な人では平均64万個で、高血圧患者さんの場合は39万個、慢性腎臓病患者さんでは27万個と、欧米人の平均90万個に比べ大幅に少ないことが明らかになりました。
したがって、西洋人と同じ量の塩分を摂っても、日本人の腎機能が弱いためにより腎臓に負担がかかることになります。
また研究者らは、「ネフロンの数は出生時に決まっている。近年増加傾向の低体重で生まれる赤ちゃんが特に問題であるので、生活習慣に気をつけ、腎機能を継続的に調べる必要がある」と警告しています。
ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。
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