シワ対策
老化すると肌に現われるしわ。しわの有る無しで若々しく見えるのか、あるいは老けて見えるのか。全く印象が変わってきます。形成外科、美容外科の分野では、このシワに対してのさまざまな治療が行なわれています。しわのできる場所、しわの種類によって適する治療法が違ってきます。
外用薬による治療
レチノイン酸
- 仕組みと特徴
しわ治療の代表的な外用薬といえばレチノイン酸での治療です。
薬としては、日本ではまだ認められていないため、医師による自家製剤のみです。
レチノイン酸はビタミンAの一種で、表皮に作用して肌のターンオーバーを促進します。真皮層の線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンの生成も促進し、高いしわの改善率をあげています。 - 注意点
効果が高い分、刺激もあり、赤くなったり皮がむけたり副作用がでることもあります。必ず医師の指導の下、肌のコンディションをチェックしながら治療を進めましょう。
ケミカルピーリング
酸の力で皮膚表面の角質をはがし、新しい細胞を形成します。
- 仕組みと特徴
ニキビやシミ、小じわなどの治療として主流になってきたケミカルピーリング。
ピーリングは、酸の力で皮膚表面の角質をはがし、新しい細胞を形成します。ピーリングを行う酸には、いろいろありますが、現在では角質層のごく薄い部分に作用する、弱いAHA(フルーツ酸)と呼ばれるものが主流となっています。
酸を皮膚に塗布し、皮膚表面の角質細胞間の結合を弱めて、角質層の表面を傷つけずに薄くはがしていきます。
古い角質の除去や毛穴づまりなどの改善に有効で、古い角質を取り除く作用で、肌の老化とともに増える薄いシミやくすみ、小じわなどの改善も期待できます。
また、継続して月に1~2回、5~6回繰り返すのが、理想的です。また、ピーリング後は有効成分が肌に浸透しやすい状態。ビタミンCのイオン導入などを行うと肌の深部まで浸透します。ニキビやしみの治療には特におすすめです。
- 注意点
同じ酸でもその強さは濃度とpHで変わり、人によって反応は違います。つまり肌にはそれほど個人差があるものなのです。特に日焼けしにくい人は刺激を与えると色素沈着を起こしやすく、特に注意が必要です。きちんとした知識をもった経験豊富なドクターの元で治療を行うことが大切です。
またピーリングの後は角質層が薄くなり紫外線を吸収しやすく、乾燥しやすい状態になっています。日焼け止めや保湿剤などでの充分なケアが必要です。
注射による治療
コラーゲン注入
- 仕組みと特徴
私たちの肌の真皮層にあり、肌の弾力やつやを保つコラーゲン。これが年齢とともに減少して、肌のハリがなくなり、しわやたるみとなります。そこで、真皮内に直接コラーゲンを補強し、内側から肌を持ち上げ、シワを消そうという治療法です。牛の真皮のコラーゲンを精製したものを溶液として注射し、小じわをとる方法です。
眉間のしわ、目尻のいわゆるカラスの足跡そして頬と上唇の堺の溝など、手術のつり上げの効かない部位に効果的です。 - 注意点
しかし注入されたコラーゲンはやがて吸収されてしまうので、3~6ヶ月ごとに繰り返し注射することが必要です。
牛というと、狂牛病の恐れはと心配されるかもしれませんが、今のところ素性のしれた牛しか使ってないので、その心配はないようです。
ただし、約3%の割合でアレルギー反応を起こしますので、治療の数週間前に必ず皮内テストを行います。
ヒアルロン酸注入
- 仕組みと特徴
ヒアルロン酸は多糖類で、すべての生体内に生まれつき存在している物質です。体内でヒアルロン酸は、皮膚にボリュームを与えたり、関節に弾力性を与えるなど、重要な役割を担っています。また、皮下組織内でヒアルロン酸分子は水と結合してボリュームを作り出したりします。この成分をジェル状に加工したものを皮下に注入し、シワやたるみの改善に応用する治療法です。感染の恐れやアレルギーの心配もほとんどありません。 - 注意点
注入されたヒアルロン酸はコラーゲン同様に吸収されてしまうので、6ヶ月~1年ごとに繰り返し注射することが必要です。
ボトックス
- 仕組みと特徴
ボトックスとは、シワをつくるとなっている筋肉を麻痺させて、シワにならないようにします。
額や、眉間、目じりの表情ジワの解消に有効です。注入後、筋肉がつっぱたような、動きにくい感じがすることもありますが、実際に効果が現れるのは3日目以降。その効果は3~6ヶ月が目安です。
- 注意点
ボトックスは表情じわを緩和させるものですから、表情がでにくくなります。きちんと説明を受けて理解し納得して治療を受けましょう。また、頻繁に長期に繰り返し使用していると、効果が出にくくなるという報告もあります。
レーザー治療
外科的なフェイスリフトに変わるシワとり法として、レーザー治療が注目されています。次々と新しいレーザー機器が開発され、技術も飛躍的に進歩しています。
レーザー治療には、1回ずつの治療効果は小さくても皮膚を傷つけない療法「ノンアブレイティプ」と、皮膚の表皮を剥ぐなどして傷つけるがほとんどの場合1回の治療で済む療法「アブレイティブ」があります。
ノンアブレイティブ
皮膚の表皮を剥ぎ取ることなく、表皮の下にある真皮の再生力に働きかけます。小じわに効果があります。1回の治療で劇的に変わるわけではなく、治療期間の間隔を空けながら6~10回の治療が必要です。そのぶん1回の治療のリスクが少ないといえます。気になる痛みは、少しチクチクする程度の痛みか無痛です。治療後はお化粧をして帰宅できます。レーザー照射後は紫外線ケアを徹底して行う必要があります。紫外線ケアを怠ると、色素沈着が起きることもあります。
- 種類
Ndヤグレーザー、ダイオードレーザー、ダイレーザーなど
アブレイティブ
レーザーの熱でやけどを起こさせ、表皮や真皮の一部を剥ぎ取り、皮膚細胞の再生を促します。表皮層は角質層まで生まれ変わり、真皮層でもコラーゲンが増加して活性化され、小じわが大幅に改善されます。しかし治療直後は、皮膚が炎症を起こし強い赤みが約3ヵ月ほど続きます。1週間は感染症を防ぐテーピングが必要なため、外出できないと考えましょう。
- 種類
ウルトラパルス炭酸ガスレーザー、Erヤグレーザー
ラジオ波治療
高周波の一種であるラジオ波を真皮層、皮下組織に送り込み、小じわを改善します。
- 種類
ポラリス、サーマクール
外科的治療
化粧品、外用薬、注入などでの治療では解決できない顔全体のたるみやシワの最終的な手段として外科的な手術があります。
皮膚のたるみをとるフェイスリフト
こめかみから耳前部、耳たぶを取り囲むようにU字型に後ろに回り、耳の後ろまで切込みを入れます。
そして、皮膚を皮下の脂肪組織からはがして引き上げ、皮膚を吊り上げて、余分な皮膚を切除し、縫い合わせます。
また、切り込みの範囲が小さいものをミニリフトと呼びます。
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