基本的な対策を学ぶ

アンチエイジングドック

100歳過ぎても元気に若々しく過ごしている人がいる一方で、60代、70代で介護が必要な状況の人がいます。老化のしかたや、老化へと向かう速度は、人によって異なるからなのです。
老化の兆候や老化へと向かう危険因子をいち早く見つけるための検査を「アンチエイジングドック」といいます。具体的にアンチエイジングドックではどのようなことを調べることができるのでしょうか。

バランスよく老化することを目指す

100歳を過ぎても痴呆や癌がなく、介護状態にならず、健康的に暮らしている人々を調べると、血管、筋肉、骨、神経など身体の各部分がバランス良く老化しており、身体の弱点がほとんどないことが分かりました。その結果からアンチエイジング医学では、身体の各部全体がバランス良く老化していくことを理想とします。逆に、例えば血管が硬くなっていると、血管が詰りやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった生活習慣病を発症する可能性が高くなります。骨量が減っていると、軽く転んだだけで骨折しやすくなります。高齢者は骨折から寝たきりの状態になることが多いのです。つまり、身体の一部分の老化度が著しく進んでいる場合、その老化が進行した部分が弱点となり、そこから老化が加速したり、要介護状態の原因になる傾向が強いのです。 アンチエイジングドックでは、血管、骨量、筋肉力、ホルモン量などを検査して、その人の弱点となっている部分を探ります。そして、その弱点を改善していくことを目的としています。

身体の老化度と老化危険因子を調べる

アンチエイジングドックでは、いまの身体の状態、すなわち現在の「老化度」を調べるとともに、これからの老化を促進する因子を示す「老化危険因子」も調べます。この老化度と老化危険因子を調べた検査結果から、老化が原因で起こる疾患や体調不良の予防を目指します。

老化度

いまの身体の状態を調べる
血管年齢、ホルモンバランス、筋肉・体脂肪年齢、骨年齢など

老化危険因子

これからの老化を促進する因子を調べる
酸化ストレス、心身ストレス、免疫機能、代謝機能、生活習慣、有害重金属量など

アンチエイジングドックの検査

医療機関の設備、医師の考え方により実施される検査、検査機器が異なります。アンチエイジングドックで代表的なものを挙げます。

血管年齢検査

血管の硬さ、つまり動脈硬化度を調べます。同時に血管の詰まり具合も調べます。
脈波が血管を伝わる速度を計測する「脈波伝播速度法(PWV)」と「指尖加速度脈波法」があります。また、頚動脈エコーMRIなどを使用して、詳細に検査する施設もあります。

骨年齢検査

骨密度を測定します。30代かそれ以前の若い時期から骨密度の数値が低い場合、骨粗鬆症の予防的な対処が必要です。更年期以降で骨密度の値が低い場合は、ホルモン補充療法、薬物療法などで治療します。

筋肉・体脂肪量検査

体組成計という検査機器を使います。 体重、体脂肪率、BMI、ウエストヒップ比、右腕・左腕・体幹・右脚・左脚の筋肉バランス、たんぱく質量、ミネラル量、内臓脂肪などからだの組成が分かります。

酸化ストレス度・抗酸化力測定

身体が受けている酸化ストレス度と、酸化を防ぐ抗酸化力を調べます。

ホルモン濃度測定

IGF-I、DHEA、コルチゾール、甲状腺ホルモン、男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストラジオール、プロゲステロン)などのホルモンを採血や唾液から調べます。

有害重金属検査

水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなどの有害重金属が体内に蓄積しているかを調べます。毛髪から調べる方法と、尿から調べる方法が一般的です。

その他

腫瘍マーカー、免疫機能、最大酸素消費量測定、高次脳機能検査などを実施します。